あくまで天使です。


「おいナギサ!」


ドアの半分から顔をのぞかす悪魔、いやいや天使。


私は雑誌から目をあげ、声のした方向へ目をやる。真黒な髪を垂らしたベルアルの綺麗な顔がある。


「………何」


私は慣れない思いで彼に訊いた。ベルアルはそのままの格好で


「飯っ!」


と一言ぶちかました。私は雑誌を閉じ、ため息をついた。片腕で頭を押さえる。


この男は、子供的言動しかできないのか。それと悪口。


「天使って飯いんの?」


「たりめぇだろこの単細胞が」


毒を吐き、ベルアルは体全体を廊下から出した。相変わらずあの真黒の神服を着ている。


「俺たちは神から作られたんだ。神は命を尊さを語るために食物をとるような体にしやがったんだ。エネルギー源も必要だしな。てめぇらも一緒だろ?」


確かにそうかもしれない。だが天使が「飯っ!」と怒鳴る漫画や本は一冊もなかったぞ。


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