カエルと魔女の花嫁探し
「夢じゃないわよ。アタシは魔女、幸せを運ぶ魔女よ」

 そう言い切ると、セレネーは窓辺へ近づき、ジーナに手を差し出す。
 手のひらには、ちょこんと行儀よく座ったカエルがいた。

「このカエルは、幸せのカエル。愛情を注げば注ぐほど、あなたに幸せが訪れるわ。家族思いでいつも頑張っているあなたにプレゼントするわ」

 ぽかんと小さな口を開けながら、ジーナは両手でカエルを受け取る。
 しばらくジーナと見つめ合った後、カエルは立ち上がってうやうやしく頭を下げた。

「初めまして。しばらく貴女の元でご厄介になります」

「ええっ! カエルが喋った……ウソ、信じられない」

 体を硬直させたジーナへ、セレネーは念を押すように破顔してみせる。

「カエルだからって粗末にしないでね。できる限り一緒にいれば、カエルの幸せがあなたに移って、より大きな幸せを手に入れる事ができるから……じゃあね」

 ウインクすると、セレネーはホウキに乗って夜空へと姿を消した。
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