珈琲時間
12/5「会いたい」
 よく恋愛漫画の中で、
 「考えてみたら、好きだと言葉に出してもらったことがない」
 という文字を見つける度に、
 「別にいいじゃない。言わないだけで、好きってことでしょ?」
 相手が自分を思ってくれることさえわかってればいいじゃない。
 そう、ずっと思ってきたのに。
 実際自分がその状況になると、こんなにも違うものかと思わされる。

 好きだと言われたことはある。
 なんたって、告白は向こうからだったから。
 だけど、最近気がついた。
 彼は「好きだ」とは言ってくれるけれど「会いたい」とは言ってくれない。

 会いたいときには、あたしから連絡を取る。
 たいてい、彼はどうにかしてあたしに都合をあわせてくれる。どうしてもダメなときは、あたしの次の予定を聞いてくれる。

 (確かに、最初は嬉しかったよ? わがままを文句言わずにきいてくれてるわけだし?)

 彼にもわがままを言って欲しいと思うのは、更にあたしのわがままなのだろうか?

 「弱音を吐くのは嫌なんだってことはわかるんだけどねぇ」
 最初は向こうからでも、好きにならなければ、こんなに長くは付き合っていられない。
 「たまには聞かせて欲しいんだけどなぁ」

 会いたいと言われれば、あたしこそ飛んでいくのに。
 けれど今日も、あたしの方が我慢出来ないみたいだ。
 『会いたい』
 そうメールを打ってしまう。

●「会いたい」って本当に会いたいわけじゃなくて、淋しいんだよってことをわかってもらいたいだけだったりするときもあるんじゃないかな?
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