魔王と王女の物語
意気揚々と戻って来たコハクと少し遅れて戻って来たリロイ。

リロイの首は少し赤くなっていて、料理を作り終えたエリノアが…


ラスとコハクの間に座った。


「…」


まるで恋人同士のようにコハクの腕に触れて、ワイングラスに赤ワインを注いでいるエリノアは…完全にコハクに惚れ込んでいた。


「…リロイ、一緒座ろ」


棚から牡丹餅状態で、リロイの両隣にティアラとラスが座り、ラスは敢えて最もコハクから離れた席を選んだ。


…どう反応してくるか。

さっきの自分みたいにやきもちを妬いてくれるか?


「首のところ赤くなってるよ?大丈夫?」


「あ、うん大丈夫だよ。ラスこそ指を怪我してるみたいだけど?傷が残ったら大変だよ」


互いに互いの心配をして、ラスがリロイの首に触れて、リロイがラスの左手の小指を撫でると…

イライラの頂点に来たコハクが突然エリノアの腕を振り払って立ち上がり、無理矢理ラスを立たせて席へ連れていくと、

ラスを膝に乗せて座り直して満足げにエリノアに言ってのけた。


「こいつ俺のもんだから。そこの小僧、俺のチビにべたべた触んじゃねえ。ちょん切ってやるぞ」


「え、何を?」


――相変わらず訳の分からないことを言われて首が傾いたが…


コハクが攫いに来てくれて安心したラスは、首にきゅっと抱き着いて少し長い黒髪に指を潜らせると、エリノアと目を合せた。


…美しき姫は今にも泣きそうな顔になっていて、急に罪悪感を覚えて謝ろうとして口を開きかけると…


「コハク様は…ラス王女ともう関係を…?」


「あ?するわけねえじゃん、こいつまだガキなんだし」


「関係って?するって何を?私はもう大人だもん」


――まだ何もしていない…?


私と会った時はものの数分で手を出してきたのに?


…エリノアの表情はさらに悲しみを増して、俯いた。


「チビは知らなくていいの。ほら、俺にワインを飲ませてくれよ。口移しで」


「うん」


何の躊躇いもなくワインを少量口に含むと、そのままコハクと唇を重ねる。


それはエリノアへの挑戦状で、コハクは自分ものだという主張。


魔王、大歓喜。
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