魔王と王女の物語
皆の前で食事そっちのけで舌を絡める魔王。


大コーフンしすぎてラスの胸も触ってしまって、ティアラが小さく悲鳴を上げた。


「きゃっ」


「影!許さないぞ、ラスに触るな!」


当のラスはじっとコハクを見つめていて…

それがリロイには耐えられず、コハクの膝からラスを抱き上げて奪った。


「ゃ」


「魔王の言いなりになっちゃ駄目だよ、君はプリンセスなんだから」


「ざけんな小僧。そいつは俺の天使ちゃんなの。返せ」


ぞんざいな態度で立ち上がって腕を伸ばすと、ラスの手が伸びた。


「コー…」


「早く来ないとエリノアを…」


一瞬エリノアが顔を輝かせて、またもやむっとなったラスは1度リロイにぎゅっと抱き着くと耳元で謝った。


「ごめんね、コーのとこに行かせて」


「ラス…」


――下ろしてもらうとまたコハクに抱っこされて、大満足の魔王が皆に手を振る。


「じゃ、塔の最上階借りっから。絶対入って来るんじゃねえぞ。てことでエリノア、今夜は泊めてもらうからな」


「…はい…」


金の巻き毛が揺れて俯き、半分優越感、半分罪悪感のラスは連れ去られながらちょっとだけ姫に手を振った。


心優しき姫も小さく手を振り返してくれて、余計に胸が痛んだラスは軽々と抱っこされたまま螺旋階段を上るコハクの背中を叩く。


「私…ヤな女の子になっちゃった…」


「べっつにいいんじゃね?それとも俺がエリノアとお前が知らないことたくさんしてもいいわけ?」


立ち止まり、赤い切れ長の瞳が真っ直ぐぶつかってきて、いやいやと首を振った。


「知らないことってなに?知ったらいやな気分になるの?」


「多分な。ま、お前がそれでもいいんってんなら今日は一人で寝ろよ。一人で部屋まで行けるな?」


そう言って下ろそうとしてきたので慌ててしがみついてぶんぶんと首を振って、金の髪がコハクの顔に何度もぶつかった。


「痛いって。冗談だよ冗談」


「…嘘、今本気だったでしょ?コー、一緒寝て」


「もっちろん。じゃ、チビが寝るまで友情の証沢山するからな。オーケー?」


「オッケーだよ」


にやり。
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