魔王と王女の物語
準備をして霧が晴れた町を歩き、沿道に住民が並んで最後まで別れを惜しんでくれて、

馬車に乗り込むと、一路崩壊したホワイトストーン王国を目指す。

ラスは馬車の中でティアラから花冠の作り方を教えてもらいながら必死に編んでいた。


「花なんかすぐ枯れるんだしさー、チビ、俺を構ってほしいなー」


「コー、ちょっと待っててね、もうすぐできるから」


誰も構ってくれないので一人でごろごろしていたコハクは、ラスのその鶴の一声にがばっと起き上がった。


「え?それって俺用?」


「うん、だって昨日私に花冠を作ってくれたでしょ?だからね、お返しにね、作ってあげる」


…だが手つきはたどたどしく、完成間近の花冠はどう見ても…不揃いで、不恰好だ。


細い腕にはティアラが黄色い花を編んで作ってあげたブレスレットをして、赤い花を選んだのは、コハクの瞳が赤いから、といったラスなりのチョイスだ。


「マジ?どうしよ、めっちゃ嬉しいかも!」


「はい、できたよ!どうかな…頑張ったんだけど…これが最高の出来なの」


服も一人で満足に着れないラスが精一杯頑張って作ってくれた気持ちが魔王の心に響き、隣に移動すると頭を下げて乗せてもらった。


「ど?イケてる?」


「うん、イケてる。かっこいーよ、コー」


「マジ?超嬉しいし!」


頭に乗せてもらったと思ったらすぐに取って掌を翳しているコハクは本当に嬉しそうで、2人が何をしているのかと見つめていると、

白い光が花冠を一瞬ふわっと包んで、また頭に乗せてにやにや笑っている。


「何をしたの?」


「壊れないようにしたの。せっかくチビが作ってくれたんだからさー、枯れるともったいないじゃん?チビ、ありがとな」


コハクから礼を言われてラスは素直に喜んだが…


逆にティアラは子供のように喜んでラスから手鏡を借りて花冠を見ている魔王に対し、違和感と若干のうざさを込めて鼻を鳴らし…


それに気付いたコハクに影を踏まれ、勝手に手が動いてローブのボタンを外していき、ラスが食いついた。


「ティアラの胸、すっごい“ぼいーん”ってなってる!今度お風呂一緒に入ろ!」


…魔王、にやにや。

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