魔王と王女の物語
馬車に乗り込もうとした時、羊飼いの少年が駆け寄って来て魔王の腕を掴んだ。
「なんだよ、触んなよ」
「あの!お兄さん強そうだから頼みがあるんだ」
鎧を纏っているリロイではなく、いかにも魔法使いな装いのコハクにそう声をかけた少年の顔が真剣そのもので、
ちょっとむっとしながらリロイが白馬から降り、少年と同じ目線で肩を抱いた。
「どうかしたの?よければ話を聞くよ」
「ほんと?お兄さん強いの?この真っ黒なお兄さんよりも?」
「ふざけんなよ俺の方が強いっつーの。おい少年、このお兄さんにまず話をしてみなさい」
ラスの前でいい恰好をしたい魔王はどうみても子供受けしない笑顔をにたりと浮かべて少年の頭を撫でた。
「あの、僕、ジャンっていうんです。うちの村に…その…狼が居るんです。どんどん人が消えて行って…困ってるんです」
「狼?人を襲ってるのか?」
「あの…とにかく来てください!お姫様たちも」
「うん、わかった。コー、お願い聞いてあげて」
馬車の窓からラスが手を振って少年の頬が緩むと、心の狭い魔王が舌打ちをして手で追い遣った。
「先に行け。ついて行くから心配すんな」
「ありがとう!」
「ちなみにそこの金髪小僧じゃなくてなんで俺に声をかけたんだ?」
「お兄さんの方が性格悪そうだから」
「ああ?よく言ったな、とっちめるぞ」
――何やらめんどくさいことになりそうな気がたのだが、ラスが乗り気になっていたので同調した。
「私たちで解決してあげましょう。ラスは危ないことはしないでね」
「ずっとコーの傍に居るから大丈夫」
その言葉を聞いた魔王が鼻の下を伸ばして当たり前のようにラスの膝枕で寝転び、髪を梳いてもらいながらうっとりとなっている様子は…
コハクが“魔王”でなければ仲睦まじい光景だっただろう。
今となっては唯一無二の強力な魔法使い。
母のフィリアや自分も魔法は使えるが…コハクに比べれば微々たるものだ。
「どうやってとっちめてやろうかなあ」
「ワンちゃんのご飯にしたら?」
…意外ときついことを口にして、おでこにキスをした。
「なんだよ、触んなよ」
「あの!お兄さん強そうだから頼みがあるんだ」
鎧を纏っているリロイではなく、いかにも魔法使いな装いのコハクにそう声をかけた少年の顔が真剣そのもので、
ちょっとむっとしながらリロイが白馬から降り、少年と同じ目線で肩を抱いた。
「どうかしたの?よければ話を聞くよ」
「ほんと?お兄さん強いの?この真っ黒なお兄さんよりも?」
「ふざけんなよ俺の方が強いっつーの。おい少年、このお兄さんにまず話をしてみなさい」
ラスの前でいい恰好をしたい魔王はどうみても子供受けしない笑顔をにたりと浮かべて少年の頭を撫でた。
「あの、僕、ジャンっていうんです。うちの村に…その…狼が居るんです。どんどん人が消えて行って…困ってるんです」
「狼?人を襲ってるのか?」
「あの…とにかく来てください!お姫様たちも」
「うん、わかった。コー、お願い聞いてあげて」
馬車の窓からラスが手を振って少年の頬が緩むと、心の狭い魔王が舌打ちをして手で追い遣った。
「先に行け。ついて行くから心配すんな」
「ありがとう!」
「ちなみにそこの金髪小僧じゃなくてなんで俺に声をかけたんだ?」
「お兄さんの方が性格悪そうだから」
「ああ?よく言ったな、とっちめるぞ」
――何やらめんどくさいことになりそうな気がたのだが、ラスが乗り気になっていたので同調した。
「私たちで解決してあげましょう。ラスは危ないことはしないでね」
「ずっとコーの傍に居るから大丈夫」
その言葉を聞いた魔王が鼻の下を伸ばして当たり前のようにラスの膝枕で寝転び、髪を梳いてもらいながらうっとりとなっている様子は…
コハクが“魔王”でなければ仲睦まじい光景だっただろう。
今となっては唯一無二の強力な魔法使い。
母のフィリアや自分も魔法は使えるが…コハクに比べれば微々たるものだ。
「どうやってとっちめてやろうかなあ」
「ワンちゃんのご飯にしたら?」
…意外ときついことを口にして、おでこにキスをした。