魔王と王女の物語
コハクは村の人々から明らかに敬遠されていた。
…もう、魔法使いの時代ではない。
人々は知恵を絞って道具を作り、何の苦労もせずに簡単に何かを手に入れることをやめて、自分たちの手で作り出すことに喜びを見出した。
それに水晶もある。
――ちなみに魔王の人相が割れているのは、各王国の王たちとごく一部の人間のみだ。
よってコハクが“魔王”だと知っている者は居なかったが、それでも魔法使いの装いのコハクには畏怖を感じて近寄りたがらなかった。
…また浮かべている性質の悪い笑みも問題だったのだが。
「ねえコー、狼退治はいつするの?今するの?」
「いや、魔物は夜になると活発化するから早朝がいいだろうな。…おい言っとくけどお前は連れてかないからな」
「えー。その代りワンちゃん出して」
「いいぜ、室内で呼び出すと家が壊れるから外な」
急にラスとコハクが揃って外に出たので、何かと思ったジャンや村長が後を追うと…
「ケルベロス、遊んでやるから出て来い」
地に掌を翳してコハクが呼びかけると、わくわくしきりのラスの足元に魔法陣が浮かび上がり、3つの頭を持った真っ黒い犬…ケルベロスが巨体を現した。
「ひいっ、ま、魔物だ!」
『はーい、魔物でーす』
主人に似てくだけた口調のケルベロスがラスを見止めて、いきなりごろんと横になるとピンク色の腹を見せて“撫でろ”と要求してきた。
「こらワン公、チビの手が汚れるだろうが。チビ、撫でなくっていいぞ」
「撫でるもん。ねえワンちゃん、3つも頭があるし身体も大きいし、すぐお腹が空きそうだね。ちゃんとコーからご飯もらってる?」
『呼び出されるまでは自由だから別にもらわなくても平気。それよりチビが美味しそ……きゃいんきゃいんっ!』
魔王に思いきり真ん中の頭に拳骨をくらい、服従心を見せるために今度は魔王に腹を向けた。
「チビって呼んでいいのは俺だけなの!」
村人が遠巻きにケルベロスと、その主人らしきコハクと、そしてぶんぶん振られている尻尾を握っては無邪気に笑っているラスを見て息を呑む。
「あの人たちは…何者だ?」
そう言われても仕方がなかった。
…もう、魔法使いの時代ではない。
人々は知恵を絞って道具を作り、何の苦労もせずに簡単に何かを手に入れることをやめて、自分たちの手で作り出すことに喜びを見出した。
それに水晶もある。
――ちなみに魔王の人相が割れているのは、各王国の王たちとごく一部の人間のみだ。
よってコハクが“魔王”だと知っている者は居なかったが、それでも魔法使いの装いのコハクには畏怖を感じて近寄りたがらなかった。
…また浮かべている性質の悪い笑みも問題だったのだが。
「ねえコー、狼退治はいつするの?今するの?」
「いや、魔物は夜になると活発化するから早朝がいいだろうな。…おい言っとくけどお前は連れてかないからな」
「えー。その代りワンちゃん出して」
「いいぜ、室内で呼び出すと家が壊れるから外な」
急にラスとコハクが揃って外に出たので、何かと思ったジャンや村長が後を追うと…
「ケルベロス、遊んでやるから出て来い」
地に掌を翳してコハクが呼びかけると、わくわくしきりのラスの足元に魔法陣が浮かび上がり、3つの頭を持った真っ黒い犬…ケルベロスが巨体を現した。
「ひいっ、ま、魔物だ!」
『はーい、魔物でーす』
主人に似てくだけた口調のケルベロスがラスを見止めて、いきなりごろんと横になるとピンク色の腹を見せて“撫でろ”と要求してきた。
「こらワン公、チビの手が汚れるだろうが。チビ、撫でなくっていいぞ」
「撫でるもん。ねえワンちゃん、3つも頭があるし身体も大きいし、すぐお腹が空きそうだね。ちゃんとコーからご飯もらってる?」
『呼び出されるまでは自由だから別にもらわなくても平気。それよりチビが美味しそ……きゃいんきゃいんっ!』
魔王に思いきり真ん中の頭に拳骨をくらい、服従心を見せるために今度は魔王に腹を向けた。
「チビって呼んでいいのは俺だけなの!」
村人が遠巻きにケルベロスと、その主人らしきコハクと、そしてぶんぶん振られている尻尾を握っては無邪気に笑っているラスを見て息を呑む。
「あの人たちは…何者だ?」
そう言われても仕方がなかった。