魔王と王女の物語
『じゃあまたねーコハク様とチビー』


「じゃあねー」


魔王の飼い犬…魔犬のケルベロスが冥界に戻り、またもや馴れ馴れしく“チビ”と言ったケルベロスを今度呼び出す時は躾をしてやろうと、S全開の口角を上げた笑みを浮かべ、

だんだん陽が落ちてきて、今の光景の弁明に躍起になっていたティアラとリロイが駆け寄って来て猛然とコハクに抗議をした。


「あんなの呼び出さなくてもいいだろ!」


「だってチビが呼び出せって言ったからさー」


「ごめんなさい。私がお願いしたの。だから怒るなら私を怒って?」


うるうるした瞳で見上げられては女を怒ることもできず、頬をかいて肩で息をついた。


「次からは駄目だよ、どうしてもって言うなら人が見てないところでね」


「うん、わかった。ねえティアラ、一緒にお風呂に入ろうよ!」


「え?!」


実は“ぼいーん”を生で見たくて仕方がなかったラスはがっしりとティアラの腕に腕を絡め、まだ唖然としているジャンの頬を突くと聞いてみた。


「お風呂に入りたいんだけど、借りてもいいかなあ?」


「あ、え、う、うん、ちょっと待ってて」


ラスがにこにこ顔で村長に耳打ちをしているジャンを見ていたが、当のティアラは誰かと風呂に入ったこともないので、それが同性であっても躊躇していた。


「ら、ラス、私は1人で入りたいから…」


「駄目だよ、ティアラの胸が大きい秘密を探らなくちゃいけないんだから、1回でいいから一緒に入って!」


「そうだぞ、チビが“ぼいーん”になるために協力してくれよ。あ、なんなら俺も一緒に入って…」


「いやよ!お前と一緒に入る位ならラスと2人で入るわ!」


まんまと魔王の口車に乗せられて閉口するティアラを引きずるようにしてラスが風呂場まで連れて行く。


「チビ、俺も入りたいんだけどー」


「今日は駄目。秘密がわかったら教えるね!」


「じゃあ俺、その辺散歩してくるし」


「うん、わかった」


…一瞬覗こうかと思ったが、そこは敢えて想像だけで済ませてぷらぷらと外へと出て行った。


「ティアラ、早く脱いで!」


ラスからのガン見が待ち受けていた。
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