魔王と王女の物語
その夜着いた小さな町で、ささやかながらラスを皆で祝った。


「本当は派手に祝いたいんだけどさ。チビ、こんなんでいいのか?」


そこは宿屋の談話室で、ラスはホットミルク、他の面々は酒を手に満面の笑みでラスが頷いた。


「うん。旅の仲間が増えてとっても嬉しいし、祝ってくれてありがとう」


純粋すぎるラスの挨拶に表情が変わらないながらもグラースもかなり照れていて、

リロイは愛しげな瞳でラスを見ているし、ティアラは大人の仲間入りをしたラスに色々教えてあげることが沢山できて、嬉しがっていた。


「ここを越えれば妖精の森はすぐそこだ。言っとくけど女王が俺に何を言ってもお前たちは聞いてないふりをしろよ」


何故か念押しをする魔王の言葉に皆が頷き、話はグラースの故郷のブルーストーン王国に及んだ。


「どういう所なの?お父様もよくわからないって言ってたけど…」


「鎖国というだけで特別隠していることは何もない。つまらない所だ」


ちゃっかりラスの隣をゲットしていたグラースにとってラスは妹のような存在で、同じ色の髪を撫でてやるとすぐに顔が綻び、グラースの口角も上がる。


「早く女王様の呪いが解けて国に帰れるといいよね。一緒に連れて行ってね」


「ああ」


にこにこと笑うラスとリロイとティアラ。

1人違うのは魔王で、ラスを独り占めできないので早々に部屋に引き上げたかったのだが、ここはぐっと耐えた。


これはラスを祝う席なのだから。


――ラスが腹を撫でるような仕草を見せて、リロイがそれに気付くと気遣い、声をかけた。


「もう遅いしお腹痛くなった?もう休んだ方がいいよ」


「うん、もう寝よっかな。ティアラ、どうすればいいの?」


「あのね、夜はこれを…」


グラースと3人で背を向けてバッグをごそごそしつつ、リロイはそれを見ないようにしつつ頬を赤くしていたが…


魔王はガン見だった。


「そうそう、夜はこれを…」


「ちょ、ちょっとあっちに行って!ヘンタイ!」


ヘンタイ、と言われても本当のことなので魔王は怒らない。


「これで寝返り打っても大丈夫!」


逆にヘンタイに磨きがかかる。
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