魔王と王女の物語
魔物は敏感に血の匂いを嗅ぎつけて襲ってくる。


なので、ラス以外の全員は魔王が推奨した“生理休暇”に賛成だった。


せめて2,3日は安静にさせようと考えたリロイが、ラスが部屋に戻る前に声をかけて呼び止めた。


「この陛下の魔法剣なんだけど…ちょっと刃こぼれしちゃって鍛え直してもらいたいから時間が欲しいんだ。いいかな?」


「え、そうなの?うん、大切な剣だからちゃんと鍛えてもらってね」


にこにこと笑いかけてくる無邪気な王女。

その笑顔を見るだけで癒されて、疲れなど吹っ飛ぶのだが…


「おい小僧!今俺の天使ちゃんをやらしい目で見やがったな?お前あとで八つ裂きにじてやるからな」


…この魔王の驚くべき察知能力でどっと疲れが出て、ティアラの手を引きながら部屋へと案内した。


「あなたはどこか具合が悪い所はありませんか?」


「私は大丈夫です。これでも結構頑丈にできてますから」


1度キスを交わしたティアラ。

濡れたように艶やかな黒い髪が美しく、真っ白な肌は透けてしまうかのようで、部屋へ入れるとドアを閉めて息をついた。


「気苦労が絶えないな」


油断した所でグラースに声をかけられ、ひらひらと手を振りながら部屋に消えて行った。


「妖精の森か…。いやな予感しかしないのは僕だけなのかな」


――部屋に戻ったラスは早速ベッドに潜り込んだのだが…生理になってはじめての夜で、なんだか不安で寝返りが打てずにいた。


「寝返り打っても大丈夫だってば。安心設計なんだからー」


「でもコー…朝ベッドが血の海だったらごめんね?」


…さすがの魔王もその発言に顔が赤くなって、ラスに背中を向けながら頬をかいた。


「俺が動かないようにずっと抱っこしてやっから」


「ねえ、本当に触るだけじゃ赤ちゃんできないんだよね?じゃあどうしたらできるの?」


いそいそとベッドに入ってラスに腕枕をしてやりながら額にキスをして笑った。


「そりゃー…雄蕊と雌蕊がくっついて…」


「なにそれ?全然わかんない」


「まだチビには早い!とりあえず雄蕊と雌蕊から教えっから!もう早く寝ろって」


魔王、デレデレ。
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