魔王と王女の物語
「魔法を使えなくなったのは人間だけ。だから人間は妖精を狩って強制的に屈服させて魔法を使わせたりするんだ」


「ひどい…」


「それが現実だ。それに女の妖精が男に捕まったら…そりゃひどい目に遭うぜ」


「どういう、意味…?」


「ハーフエルフが生まれる。生まれ落ちた瞬間から迫害されて生きなきゃいけない奴らだ。ちっ、めんどくせえ」


――ウンディーネが燃える妖精の森の炎を消して行き、徐々に煙が晴れて行くと…


目の前には大きな白亜の立体的な城が建っていて、その入り口で人間の男たちがたむろっている姿が見えた。


「リロイお願い…。妖精さんたちを助けなきゃ」


「うん、わかってる。僕とグラースが行くからラスは動かないで。…影、頼んだぞ」


「いちいち命令すんな。マジぶっ飛ばすぞ」


「ティアラ、傷ついてる妖精さんが居たら魔法で傷を治してあげてほしいの。お願いできる?」


「ええもちろん。魔王、勝手なことをしてラスを危険な目に遭わせないで」


「うるせえよお前もヤっちまうぞ」


森に散らばっていた男たちが急に火が消えていくので城の前に集結し始めていた。


「どうなってるんだ…?火が消えていくぞ!」


「その虫かごに入ってるの、見せろよ」


気配もなく背後から声をかけたコハクに驚いた男が振り返る。


手には、女の妖精が入った虫かごと、水晶の欠片。


コハクが人差し指をくいっと上げると、虫かごが手に吸い寄せられるようにして飛んできた。


「あっ!」


「売買が目的か?妖精は皆美人だもんなあ」


「お、お前、誰だ!?」


「妖精さんをに悪いことしないで!お願いっ」


真っ黒な男の腕の中には、その男に見合わない金色の髪と真っ白な肌を持つどこかのお姫様のような美少女。


男たちは美しい盗品や美しい女たちを奪い、攫い、それを売買して商売をしている盗賊だった。


「その女をこっちによこせ!そうすれば命は助けてやる」


「その台詞、そっくりそのまま返すぜ。俺の女を盗品扱いしやがって…マジで許さねえからな…」


すう、と男に向かって手を伸ばす。


「チビ、目ぇ瞑ってろ」
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