魔王と王女の物語
「この方はゴールドストーン王国の第一王位継承者のラス王女で、この方はレッドストーン王国の第一王位継承者のティアラ王女です」


…馬鹿正直なリロイが継母たちにそう説明したため…継母たちはとても喜んで、ラスたちの腕を掴んで離さなかった。


「うちのような汚い家でよろしければどうぞ泊まっていって下さい!ぜひ!」


“王族と誼ができた”


明らかに継母たちがそう喜んでいるのをラス以外の皆は知っていた。

ティアラは不快な表情を隠さなかったし、リロイも上辺は笑顔だったが言葉数は少なく、

そして鈍感王女のラスは妙な空気にも気づかずニコニコしていて、レイラが美しさを隠したみすぼらしい服を着て現れた時には、ラスにべったりのコハクに追及の手が及んでいた。


「そちらの方は?」


「えっと、コーは私の…」


「俺はチビの未来の旦那ー」


「え、え!?ち、違うよ、だってまだ私…そんな…」


「なーに照れてんだ。可愛いんだよ!」


もじもじしてしまったラスの肩を抱いて頬にキスをしまくっている魔王にリロイはいらいらしっぱなしだったが、

一応一晩世話になるわけで、しかもさっきラスからこそっと打ち明けられた作戦に半ば無理矢理協力させられる形になり、

継母たちと同じテーブルについてティータイムを楽しんでいる時に、にこやかにほほ笑んだ。


「心ばかりのお礼に、明日のパーティーは僕たちがエスコートさせて頂きます」


「え、いいんですか!?」


娘2人が食いつき、継母はレイラの分だけ茶を出さず、きつい表情で睨みつけた。


「あんたは家に残って留守番だからね」


「…はい」


隣に座っていたラスがテーブルの下でレイラの手をきゅっと握って小声で話しかけた。


「明日コーに沢山綺麗にしてもらってね。一緒にパーティー楽しもうね」


無垢な王女。

ずっとコハクから肩や頬に触られていても何も感じていないのか笑顔で、早くラスと寝たくて仕方のないコハクはさっさと立ち上がってラスを抱き上げた。


「じゃ、俺たちもう寝るし」


「うん。じゃあみんな、おやすみなさい」


いつも同室のコハク。

…リロイは見て見ぬふりをした。
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