魔王と王女の物語
リロイと踊るのも楽しかったが、コハクと踊るのはもっと楽しい。


どちらかといえばリロイは形式に則ったダンスだが、コハクは色んな手順を省いたり軽々と抱きかかえてくるくる回ったり、せわしない。

でもラスはそんなダンスが大好きで、コハクもいつも楽しそうにしてくれていた。


「はぁ、はぁ、コー、激しいよ、息が…」


「えー?いつかはもっと激しいことすんのにこの位でバテられると困るんだけどー」


「もっと激しいことって、なに?」


「秘密ー」


2人で壁の花になって、ワインを口に含むと口移しでラスに飲ませた。


…周りからごくりと息を呑む音が聞こえる。

とにかくラスが自分のものであることを知らしめたくて、リロイがものすごい形相でこちらを睨んでいたがお構いなしの魔王はラスがワインを飲み込んでもキスを止めなかった。


「コー、みんな、見てる…っ」


「見たいから見てんだよ。気にすんな」


皆から見えるようにキスをすると食い入るように皆が見つめる。

ラスを抱っこすると陽がおきてきたバルコニーへ出て背中を支えて手すりに座らせ、脚と脚の間に身体を入れて超至近距離からじっと見つめた。


「コー、真面目な顔してる」


「たまにはな。チビ、そんな高いヒール履いて脚が痛くないか?もう帰るか?」


「ううん、もうちょっと居る。レイラはうまくいったのかなあ?」


「さあ知らね。お、見てみろよ」


ベンチに腰かけてラスを膝に乗せ、コハクが指さした室内にはレイラの手を取った王子が入って来て、


王子は笑顔だったがレイラの表情は曇っていて、にやつきながら2人を見ていたコハクに気付き、さらに沈んだ表情を見せた。


「ねえコー…レイラってコーのことが好きなんじゃないのかな。…私って邪魔?邪魔ならちゃんとそう言ってね」


「はあ?誰が邪魔なんだよ勝手に思い込むなっつーの。それよかチビ…この太股はけしからんなあ」


すべすべで真っ白な細い太股を撫でまくり、わざと靴を脱がせてバルコニーから外に放ると歩けないようにして、

何度も何度もラスの頬や瞼、耳や首筋にキスしている姿を見せつけた。


“お前もこうされたいだろ?”と言うように。
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