魔王と王女の物語
イエローストーン王国に着くまでは街がないので野営をすることになり、

一通りなんでもできるティアラがブルーストーン王国で調達した山菜や肉などを鍋で煮込み、その傍らにラスが張り付いていた。


「ティアラって料理ができるんだね!私…全然できないの。教えてくれる?」


「いいわよ。…魔王に振舞うの?」


「うん。コーが早く食べてみたいっていうから作ってみたいんだけど…」


「あー駄目駄目!火なんか使ったら火傷するだろが!ボイン、勝手に料理なんか教えるなよ」


最近ラスとコハクがラブラブに見えてずっと拗ねていたベルルと遊んでやっていたコハクがティアラを注意してごろりと寝転がり、

リロイはラスの隣で干し肉をナイフで削って鍋に入れていた。


「火傷してもコーがぺろぺろしてくれるんでしょ?」


「そりゃまあそうだけど。料理は俺の城に着いてから!あーマジ楽しみ。失敗しても食うし。チビが作ったものならなんでも食うし」


リロイはずっと固い表情で鍋を見つめていたが、ラスからマントを引っ張られて隣を見ると、ぱかっと口を開いていた。


「え…、えっと…はい」


干し肉を口に入れてやると美味しそうに頬張っていた。


こんなこと…自国では当たり前のことだったのに、最近はラスが遠く離れて行ってしまって、焦れる想いが募るばかり。


――もう自分は“ラスの勇者様”には成り得ないのだ。


ラスが魔王の手を選んでしまう――


「…何があっても君を守るからね」


「?うん、ありがとう。リロイとコーが居てくれるから何も心配してないよ」


魂が疼いてラスの綺麗な金の髪に触れようとすると…


「触んなよ」


「…お前の許可が要るのか?」


「当たり前だろが。チビは俺の花嫁だ。ばっちい手で触られると萎える。お前はボインで満足してろ」


その時ラスはティアラと味見をしていてそれを聞き逃し、コハクが起き上がるとラスの腰に腕を回して引き寄せてマントで身体を包んだ。


「わあ、あったかい」


「今日はこうして寝てやるよ。後ろ抱っこと前抱っこ、どっちがい?」


「後ろ」


「イイ!たまんね!」


…ヘンタイ炸裂。
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