魔王と王女の物語
皆で夕食を食べた後、ラスとティアラはその辺に咲いていた花で花冠を作って遊び、

コハクは頬杖を突きながら寝転んでそれを楽しそうに見ていた。


「へったくそだなあ。そんなんで本気で料理を覚えようと思ってんのか?」


「ど、努力すれば上手になるもん。コーが食べたくないのなら別にいいよ、リロイに…」


「食うってば!いじけんなよ、こっち来いって」


ぽんぽんと脇の下を叩くと膨れっ面のまま腕に頭を預けてきて、その上からマントで身体を包み込んでぎゅっと抱きしめた。


「小僧は見張りだろ?毎度ご苦労なこった」


「可哀そうだから役立たずの魔法使いもついでに守ってやるよ」


「ああん?てめえ…チビの前で裸にさせられたいか?」


指を伸ばそうとするとラスがその指を握りこんで指を絡めてきた。


「悪戯はやめて抱っこしてて」


「はいはい。おやすみ、チビ」


後ろから抱きしめながらちゅっと頬にキスをした。

実はリロイが朝まで見張りのために起きていなくとも毎回密かに結界を張っていたので魔物に襲われたことは今まで1度もない。


最強に性格の悪い魔王はそれを言うつもりはなく、寝てしまったラスのうなじにキスをしていたら、グラースに笑われた。


「お前は本当にラスが大好きだな」


「悪いか?なんでも言うこと聞いてやりたいし、傍に居たい。…おい、なんで笑ってんだよ」


ティアラとグラースが揃って苦笑し、リロイは気持ちよさそうに寝ているラスの寝顔をじっと見つめていた。


「ラスには激甘なんだな。普段のお前とはギャップが違いすぎて変な気分だ」


「ふん。それよかイエローストーンの石を使ったって魔法剣は未完成なままだぜ。俺が本体に戻った時にやろうと思ってんだろ?できんのか?」


――計画を見透かされていてリロイは黙り込んだが、魔王はそんなリロイに鼻を鳴らしてぎゅっとラスを腕の中に抱き込んだ。


「ま、頑張れよ。俺のことはどうでもいいけどチビを絶対傷つけるな。チビだけは駄目だ」


「……言われなくても…」


ティアラもまた、ラスと魔王は一緒に居た方がいいと思い始めていた。


安心しきったラスの寝顔を見て、そう確信した。
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