魔王と王女の物語
「頭、いて…」
馬車の中で、コハクが顔をしかめながら頭を押さえた。
「コー、どうしたの?頭痛いの?」
「んー、ちょっとな。どうしたんだ…?」
首を捻るコハクが心配になったラスが馬車を止めようとした時、それよりも早く馬車が止まって、御者台の小窓からリロイに声をかけた。
「リロイ?どうしたの?」
「お、王国が…!」
「?ちょっと待ってて、外に出るから。コーは中に居ていいよ」
「や、俺も行く。嫌な予感がする」
外に出ると…ラスも言葉を失った。
「なに…これ…」
――イエローストーン王国――
最も北にある王国で、このあたりからは冷え込んできて、雪も降る。
…が、
呆然と立ち尽くすラスたちが目にしたのは…氷漬けになっている王国の姿だった。
「…飲み込まれたか」
「え?どういう、意味…?」
息も白くなり、コハクは無言で背を屈めるとラスの影から毛皮のフードのついたコートを出して着せてやると、背中から抱きしめて王国を見上げた。
「水晶が暴走したんだ。より強力な力を持つ水晶を使おうとすれば、それ相応の潜在能力が求められる。力が無い者が手にすれば…こうなる」
「そんな…みんな凍っちゃったの…?コー、早く助けてあげようよ!なんとかできるでしょ?」
「わかんね。凍らされてるだけならもしかしたら何とかできるかもだけど。…多分無理だ」
――コハクはとても大切なことをまだラスに話していない。
それは、出生の秘密。
水晶の墓場に捨てられるまではもちろん記憶はないが…
自分がそんな場所に捨てられてどうして生き延びていられたのか、それをまだ話していない。
…今も身体の内からぞくぞくと鳥肌の立つような感じに苛まれていて、それはコハクに如実にひとつの真実を伝えていた。
『この王国はもう助からない』と。
「そんな…!イエローストーンは…」
「行ってみよう。石は無事かもしれない」
グラースがリロイの肩を叩いて馬を進めた。
コハクは黙ったまま、ラスの手を引いた。
ラスは不安を覚えて、コハクの手を握り返した。
馬車の中で、コハクが顔をしかめながら頭を押さえた。
「コー、どうしたの?頭痛いの?」
「んー、ちょっとな。どうしたんだ…?」
首を捻るコハクが心配になったラスが馬車を止めようとした時、それよりも早く馬車が止まって、御者台の小窓からリロイに声をかけた。
「リロイ?どうしたの?」
「お、王国が…!」
「?ちょっと待ってて、外に出るから。コーは中に居ていいよ」
「や、俺も行く。嫌な予感がする」
外に出ると…ラスも言葉を失った。
「なに…これ…」
――イエローストーン王国――
最も北にある王国で、このあたりからは冷え込んできて、雪も降る。
…が、
呆然と立ち尽くすラスたちが目にしたのは…氷漬けになっている王国の姿だった。
「…飲み込まれたか」
「え?どういう、意味…?」
息も白くなり、コハクは無言で背を屈めるとラスの影から毛皮のフードのついたコートを出して着せてやると、背中から抱きしめて王国を見上げた。
「水晶が暴走したんだ。より強力な力を持つ水晶を使おうとすれば、それ相応の潜在能力が求められる。力が無い者が手にすれば…こうなる」
「そんな…みんな凍っちゃったの…?コー、早く助けてあげようよ!なんとかできるでしょ?」
「わかんね。凍らされてるだけならもしかしたら何とかできるかもだけど。…多分無理だ」
――コハクはとても大切なことをまだラスに話していない。
それは、出生の秘密。
水晶の墓場に捨てられるまではもちろん記憶はないが…
自分がそんな場所に捨てられてどうして生き延びていられたのか、それをまだ話していない。
…今も身体の内からぞくぞくと鳥肌の立つような感じに苛まれていて、それはコハクに如実にひとつの真実を伝えていた。
『この王国はもう助からない』と。
「そんな…!イエローストーンは…」
「行ってみよう。石は無事かもしれない」
グラースがリロイの肩を叩いて馬を進めた。
コハクは黙ったまま、ラスの手を引いた。
ラスは不安を覚えて、コハクの手を握り返した。