魔王と王女の物語
深刻な状況の中、ラスと笑っている魔王の神経が信じられないリロイは2人から距離を取るようにしてさらに歩を速め、
城内に踏み込むと、正面にある急な角度の階段を見上げて、横のティアラに声を潜めて話しかけた。
「ティアラ王女、あの上に聖石が…」
「聖石を封じている部屋の作りはどこの城も同じ設計になっています。…あの上です」
だが階段も凍りつき、この角度の階段を昇るのは無理に思えたが…コハクがぱちんと指を鳴らすと一気に氷が溶けて階段を伝って流れ落ちて来た。
「礼は?」
にやつきながらラスを下ろしたコハクを無視して階段を昇るリロイに対して、何故かラスが謝った。
「ごめんねコー」
「なんでチビが謝るんだよ。すげーむかつく。ふん、俺その辺ぷらぷらしてるから行って来いよ」
「え、や、やだ、コー怒んないで!リロイたちは行ってていいよ、私とコーは王様たちを捜してくるから」
「…うん、気を付けてね」
いじけたコハクの後を追いかけてラスも居なくなる。
こんな光景を見るのはもう少しの我慢だと自分に言い聞かせたリロイは、ティアラの息が上がっていることにも気付かないほど足早に階段を昇っていて、
重厚な扉の前に着くとようやくそれに気が付いて頭を下げた。
「申し訳ありません、つい…」
「いえ、いいんです、早く、中へ…」
グラースが力を込めて観音開きの凍りついた扉を開けると…
「ああ…、これはひどい…」
グラースが呟き、部屋の正面に鎮座している小さな箱を覗き込んだ。
――部屋も全て凍っている。
石も、凍っていた。
触れるときっと砕け散るに違いない。
オレンジ色に輝くイエローストーンは力を失っていないように見えたが、3人共石に触れられずに、リロイは凍った壁を拳で殴りつけて怒りに耐えた。
「どうしてこんなことに…!魔王を倒すためには必要なのに…!」
「諦めましょう、リロイ。それよりも、この城も軋んでいます。早く脱出しないと…」
「くそ…っ、もう少し早く着いていれば…!ラス…ラス…!」
――想いが吹き上げる。
ラスの名を何度も呼んで、何度も壁を殴りつけた。
城内に踏み込むと、正面にある急な角度の階段を見上げて、横のティアラに声を潜めて話しかけた。
「ティアラ王女、あの上に聖石が…」
「聖石を封じている部屋の作りはどこの城も同じ設計になっています。…あの上です」
だが階段も凍りつき、この角度の階段を昇るのは無理に思えたが…コハクがぱちんと指を鳴らすと一気に氷が溶けて階段を伝って流れ落ちて来た。
「礼は?」
にやつきながらラスを下ろしたコハクを無視して階段を昇るリロイに対して、何故かラスが謝った。
「ごめんねコー」
「なんでチビが謝るんだよ。すげーむかつく。ふん、俺その辺ぷらぷらしてるから行って来いよ」
「え、や、やだ、コー怒んないで!リロイたちは行ってていいよ、私とコーは王様たちを捜してくるから」
「…うん、気を付けてね」
いじけたコハクの後を追いかけてラスも居なくなる。
こんな光景を見るのはもう少しの我慢だと自分に言い聞かせたリロイは、ティアラの息が上がっていることにも気付かないほど足早に階段を昇っていて、
重厚な扉の前に着くとようやくそれに気が付いて頭を下げた。
「申し訳ありません、つい…」
「いえ、いいんです、早く、中へ…」
グラースが力を込めて観音開きの凍りついた扉を開けると…
「ああ…、これはひどい…」
グラースが呟き、部屋の正面に鎮座している小さな箱を覗き込んだ。
――部屋も全て凍っている。
石も、凍っていた。
触れるときっと砕け散るに違いない。
オレンジ色に輝くイエローストーンは力を失っていないように見えたが、3人共石に触れられずに、リロイは凍った壁を拳で殴りつけて怒りに耐えた。
「どうしてこんなことに…!魔王を倒すためには必要なのに…!」
「諦めましょう、リロイ。それよりも、この城も軋んでいます。早く脱出しないと…」
「くそ…っ、もう少し早く着いていれば…!ラス…ラス…!」
――想いが吹き上げる。
ラスの名を何度も呼んで、何度も壁を殴りつけた。