魔王と王女の物語
つるつるの床に脚を取られて転んでしまい、その拍子に氷で脛を傷つけてしまって立ち上がれなくなると――
「大丈夫か?」
コハクが引き返してきて手を翳すと軽くラスの額を弾いた。
「走んなって。傷痕が残ったら萎えるだろ」
「コー、ごめんなさい。どうして怒ったの?どうして?」
「小僧を庇うからに決まってんじゃん。マジでむかつくし」
――しゅんとなったラスを抱っこして氷漬けの城内を歩き、
そして玉座の間を見つけたが…そこには王たちの姿はあったが…氷漬け。
襲い来る氷を避けられないと悟ったのか、玉座に腰掛けたまま前を見据え、堂々とした佇まいでいたまだ四十程と思しき王と王妃。
「逃げられなかったんだね…」
「ゴールドストーン王国は水晶は使ってなかったな。カイは頭の切れる男だったからなあ」
もうこの場に用は無いと言わんばかりに元来た道を戻りながら国を想った。
「お父様は強かった?」
「ああ、まあまあだったな。俺が本気出せば…」
――言いかけて、やめた。
あの時カイを殺してしまったら、ラスとは出会えなかったのだ。
あの時自分は…
「俺はあの時、死にたかったからさ」
「…え?どうして?」
「理解者も居なかったし、独りだったし。そんな時にカイが持ってる魔法剣で死ねるかもしれないって思ってさ」
…自殺願望?
飄々としているコハクが…?
俄かに信じられずにラスが絶句していると、コハクはラスの頭にフードを被せた。
「今は死のうなんて思ってないぜ。チビには俺の子供をばんばん産んでもらわないといけないからさ」
「ばんばん?コーと私の赤ちゃんを?……うん、可愛がってくれるならいいよ」
「マジで!?やっべ、むっちゃ張り切るし!俺とチビの子供かー…すっげ可愛いに決まってんじゃん!」
にまにま笑いが止まらなくなったコハクがいつもの調子に戻ってくれて、リロイたちが足早に城から出て行くのを見つけて声をかけようとしたのだが…
「ちょっと待った。しー」
唇に人差し指をあてられて黙ると、コハクはにやりと意地悪げな笑みを浮かべた。
「大丈夫か?」
コハクが引き返してきて手を翳すと軽くラスの額を弾いた。
「走んなって。傷痕が残ったら萎えるだろ」
「コー、ごめんなさい。どうして怒ったの?どうして?」
「小僧を庇うからに決まってんじゃん。マジでむかつくし」
――しゅんとなったラスを抱っこして氷漬けの城内を歩き、
そして玉座の間を見つけたが…そこには王たちの姿はあったが…氷漬け。
襲い来る氷を避けられないと悟ったのか、玉座に腰掛けたまま前を見据え、堂々とした佇まいでいたまだ四十程と思しき王と王妃。
「逃げられなかったんだね…」
「ゴールドストーン王国は水晶は使ってなかったな。カイは頭の切れる男だったからなあ」
もうこの場に用は無いと言わんばかりに元来た道を戻りながら国を想った。
「お父様は強かった?」
「ああ、まあまあだったな。俺が本気出せば…」
――言いかけて、やめた。
あの時カイを殺してしまったら、ラスとは出会えなかったのだ。
あの時自分は…
「俺はあの時、死にたかったからさ」
「…え?どうして?」
「理解者も居なかったし、独りだったし。そんな時にカイが持ってる魔法剣で死ねるかもしれないって思ってさ」
…自殺願望?
飄々としているコハクが…?
俄かに信じられずにラスが絶句していると、コハクはラスの頭にフードを被せた。
「今は死のうなんて思ってないぜ。チビには俺の子供をばんばん産んでもらわないといけないからさ」
「ばんばん?コーと私の赤ちゃんを?……うん、可愛がってくれるならいいよ」
「マジで!?やっべ、むっちゃ張り切るし!俺とチビの子供かー…すっげ可愛いに決まってんじゃん!」
にまにま笑いが止まらなくなったコハクがいつもの調子に戻ってくれて、リロイたちが足早に城から出て行くのを見つけて声をかけようとしたのだが…
「ちょっと待った。しー」
唇に人差し指をあてられて黙ると、コハクはにやりと意地悪げな笑みを浮かべた。