魔王と王女の物語
リロイとティアラが街へ向かい、

ラスはコハクに抱っこされたまま城内へと入り、あちこちに花が飾られている城を一瞥した魔王が苦笑した。


「やりすぎだろこれ」


「だって魔王様が綺麗にしとけって言ったから…。それに魔王様、住民から毎日感謝状が届いてます。箱に詰めて魔王様のお部屋へ運んでおきましたから」


「んなの見ねえよ。後で燃やしとけ」


「わあっ、見てみたい!コーはみんなに感謝されるようなことをしてるんだね!コー、偉い偉い」


――ラスから頭を撫でられてでれっとなった魔王は一変して考えを翻した。


「やっぱ今の無し。読むから燃やすなよ」


城の内部中央には聖石を収めている塔への長い階段があり、その脇に螺旋階段があって、コハクが階段を昇ろうとすると、ラスが下へと続く階段を指した。


「地下には何があるの?」


「俺の実験室がある。ちなみに今俺が1番実験したいのはチビなんだけどなー」


「やだっ、痛いことするんでしょ?」


「ん?そりゃチクッとはするけど、後はめくるめく快感が…」


「そのへんにしておけ色ぼけ。私はあちこち見て回る。ラス、後で合流しよう」


手を振って別れると2階へと上がり、あちこち掃除している魔物たちに、敬礼をされていた。


「コーってやっぱり悪い人じゃないんだね。知ってたけど嬉しいな」


「言っとくけど良い奴でもないぜ。ただ単に俺はあいつらの生態が知りたかっただけで、弄りまくってただけー」


それでもラスが終始にこにこしていて無性に恥ずかしくなりながらも最上階の私室に着くと歓声を上げられた。


「わあ、すっごい大きなベッド!天蓋付だし黒い!」


シーツも枕も掛け布団も全て黒で統一された魔王専用のベッドに無防備に寝転んだラスに、


魔王、むらむらっ。


「あ、あ、あのさあチビ、風呂もでっかいんだぜ。そのー、俺と一緒にはい…」


「あっ、これが魔物さんが言ってた感謝状のお手紙かな?コー、すっごく沢山あるよ!一緒に読んであげるね!」


これまた黒いデスクの上に置かれていた大きな箱を抱えて黒いソファに腰かけたラスが心底嬉しそうで、

コハクは苦笑しながら隣に腰かけた。
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