魔王と王女の物語
…さっきから魔王のチラ見が果てしない。


じっくり感謝状を読んでいるラスの肩を抱いたり髪に触れたり頬にキスをしたり…

とにかく触りまくって気を引こうとしているのに、ラスは感謝状に熱中して、時々読み上げていた。


「“死ぬまでここに住みたいです”だって。ふふふっ」


「チビさ、もう手紙とかいいじゃん。それよか俺を構ってくれ。つーか構え!」


いじける魔王の膨れた頬にちゅっとキスをすると魔王、爆発。


「チビっ」


「きゃっ!痛いよコー、頭打っちゃった」


いきなりソファに押し倒されたラスが後頭部を撫でると、コハクがぎゅうっと強く抱きしめてきて、背中に腕を回してそれに応えながら、開けられた窓から香ってくる花の香りに瞳を閉じた。


「いい匂い。良い魔物さんを作ったコーは“勇者様”だよ。それに王様でしょ?私、ここに住みたいな」


「あー、引っ越しはここにすっか。ちなみにここに住んでる奴らは俺がここの王だっての知らねえから」


「え、どうして?」


悟られないように殊更ゆっくりとラスのドレスのファスナーを下げつつついばむように何度も唇にキスをして音を立てると、

天然ぼけの王女も身体の内から競り上がってくる何かを感じて顔を赤らめながら、コハクの胸を押した。


「だって俺みたいないかにも性格悪そうで瞳の色も変な得体の知れねえ奴が治めてるって知ったら気味悪いだろ。ま、誰が治めてたって住みやすいならいい、って思ってるみたいだからいいんだけどさ」


ファスナーを下げ切ることに成功して肩口をはだけさせると、


やっぱり抵抗に遭った。


「どうしてドレスを脱がせるの?私お城の中も見て回りたいの」


「俺はチビの身体を見て回りたいんだけど」


「いつも見てるでしょ?コー、早くファスナー上げて」


寝返りを打って綺麗で真っ白な背中を見てしまった魔王は、またむらっ。


「じゃあ今日はここで1泊な。ボインと小僧は同じ部屋にしといてやろう。ふふふ、どんな顔するかなあ」


――背中に数えきれないほどのキスをして、ラスの身体が震える度に愛しさも増してゆく。


ああ、これが、“愛”か。


俺の求めていたものか――
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