魔王と王女の物語
その頃グリーンリバーの商店街を歩いていたリロイとティアラは、
木製の眼鏡橋の上で肩を抱き合って落ちてゆく太陽を眺めているカップルの会話が聞こえて脚を止めた。
「ここに移り住んで本当に良かったね。最初は魔物が怖かったけどなんでも手助けしてくれるし…あとは王様が見れたらいいな」
「そうね、王様にお会いして感謝を述べたいわ」
――腰を抱き合ってべたべたしているカップルの横を通り過ぎると、ティアラがリロイのマントを引っ張った。
「あの…私…疲れました」
「あ、申し訳ありません。少し休んでから城に戻りましょう」
グリーンリバーの中央を走る大河を一望できるベンチに座った。
そこでようやくリロイはティアラの疲れた顔をちらりと横目で見ると、口ごもった。
「ティアラ…身体は大丈夫ですか?僕は…その…はじめてだったからがむしゃらで…」
「え、ええ…私もはじめてだったのでどうしたらいいかわからなくて…ごめんなさい」
「…ラスを愛しているのにあなたに酷いことをした僕を…許して下さるんですか?」
――騎士として育てられ、女性を至上の存在として真摯に接してきたのに、ここに来て禁を破ったのだ。
しかも、レッドストーン王国を継ぐべく未来の女王を――
「許すも何も…私も望んだんです。あなたが好きだから。あなたとの思い出を作りたかったから」
なんとか精一杯笑顔を作って笑ったティアラの黒ダイヤのような瞳は潤み、気丈に努めようとする健気なティアラに愛しさを覚えた。
リロイは片膝をついてティアラの手を取ると、唇を引き締めて、決意を漲らせた。
「ここは良い所ですが、だからといって影が良い奴ではありません。必ずあなたをレッドストーン王国までお送りいたします」
「…はい。ありがとう、リロイ」
手の甲にキスをしたリロイはうっとりするほど綺麗で、散歩していた若い女性たちが、ほう、とため息をついた。
――ティアラのやわらかさ、声…全てリアルに覚えている。
愛しい、と思う。
だがラスのことは、もっと愛しいと思う。
蝶のように森を駆け回っていたラス――
早くこの手で、捕まえたい――
木製の眼鏡橋の上で肩を抱き合って落ちてゆく太陽を眺めているカップルの会話が聞こえて脚を止めた。
「ここに移り住んで本当に良かったね。最初は魔物が怖かったけどなんでも手助けしてくれるし…あとは王様が見れたらいいな」
「そうね、王様にお会いして感謝を述べたいわ」
――腰を抱き合ってべたべたしているカップルの横を通り過ぎると、ティアラがリロイのマントを引っ張った。
「あの…私…疲れました」
「あ、申し訳ありません。少し休んでから城に戻りましょう」
グリーンリバーの中央を走る大河を一望できるベンチに座った。
そこでようやくリロイはティアラの疲れた顔をちらりと横目で見ると、口ごもった。
「ティアラ…身体は大丈夫ですか?僕は…その…はじめてだったからがむしゃらで…」
「え、ええ…私もはじめてだったのでどうしたらいいかわからなくて…ごめんなさい」
「…ラスを愛しているのにあなたに酷いことをした僕を…許して下さるんですか?」
――騎士として育てられ、女性を至上の存在として真摯に接してきたのに、ここに来て禁を破ったのだ。
しかも、レッドストーン王国を継ぐべく未来の女王を――
「許すも何も…私も望んだんです。あなたが好きだから。あなたとの思い出を作りたかったから」
なんとか精一杯笑顔を作って笑ったティアラの黒ダイヤのような瞳は潤み、気丈に努めようとする健気なティアラに愛しさを覚えた。
リロイは片膝をついてティアラの手を取ると、唇を引き締めて、決意を漲らせた。
「ここは良い所ですが、だからといって影が良い奴ではありません。必ずあなたをレッドストーン王国までお送りいたします」
「…はい。ありがとう、リロイ」
手の甲にキスをしたリロイはうっとりするほど綺麗で、散歩していた若い女性たちが、ほう、とため息をついた。
――ティアラのやわらかさ、声…全てリアルに覚えている。
愛しい、と思う。
だがラスのことは、もっと愛しいと思う。
蝶のように森を駆け回っていたラス――
早くこの手で、捕まえたい――