魔王と王女の物語
ラスの耳に7枚の花弁がついた名もない金色の花を挿して屋上から降りた。

するとちょうど城内を1周したばかりのグラースと出会い、すぐその花に気付いた。


「その花、良い香りだな。金色…?」


「うん、あのね、コーがねっ」


「あー腹減った。お前さ、ちょっと街行ってボインと小僧連れて帰って来いよ。飯にしようぜ」


「わかった」


グラースがラスの頭を撫でて螺旋階段を下りて行くと、魔王、膨れっ面で抱っこ。


「きゃっ!コーは私を抱っこしすぎだよ。脚が萎えちゃう」


「萎えたらいいじゃん。俺がチビの脚になってやるし」


――コハクはやわらかく笑うようになった。


全てを吐き出してすっきりしたのか、いつもよりさらに優しくなった。

それを突っ込むときっとまたはぐらかして照れてしまうだろう。

だから抱っこされたまま螺旋階段を下りながらコハクの頭を撫でていると…怒られた。


「…なんだよ、子供扱いすんな」


「ねえコー、ぎゅってしてあげよっか」


「マジで!?じゃあ俺の部屋で…」


俄然コーフンしまくって脚を止めた時、階下からオーディンが見上げて来て、恭しく頭を下げた。


「ディナーの準備が整いました」


「わあ、お腹ぺこぺこ。コー、行こうよ。早く早くっ」


「チビ、さっきの約束だからな。後で俺をぎゅってするんだぞ!いいな?」


微笑ましい会話にオーディンの目元が緩んで微笑んだのが分かったので、ラスは腕を伸ばしてオーディンの白い眼帯に触れた。


「目はどうしたの?」


「それはですね………コハク様、私を睨むのはお止め下さい」


「チビに話しかけんな。お前邪魔なんだよあっち行ってろ」


オーディンに興味津々のラスにやきもきしながら食卓の間へ行き、述べ50人は一度に食事ができようかという長いテーブルが懐かしくなって母国を思い出した。


「お父様は結婚式に出てくれるかな」


「軍を率いて乗り込んでくるかもな。ま、チビは渡さねえけど」


「認めてもらえるように頑張ろうね」


問題は、リロイだ。


「1度腹を割って話すか」


分かってはもらえないだろうが。
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