魔王と王女の物語
バルコニーに立っていたラスは本当に妖精に見えた。


――コハクはラスを抱っこすると室内に戻ってやわらかいベッドに寝かせるとすかさず隣に潜り込んだ。


「コー、もっと夜景見たいな」


「んなのこれからいやってほど見れるって。それよか俺に注目!お前さっきなんで隅っこで丸まってたんだよ」


問うと唇が少し尖ったのでやわらかい頬を引っ張ると、両腕をクロスさせて胸を庇った。


「ひゃっへちっひゃいんだもん」


「は?なんて?」


「だって、ちっさいんだもん!」


…そんなことは十分承知なのだが、そんなことでがっかりしたりはしない。


「もうちっと成長すれば……待て待て、そうなると不死の魔法をかけるのはチビがもうちょっと成長してからの方がいいのか?」


ぶつぶつと自問自答をしているコハクの腹の上に…ラスが乗っかった。


「な、なんだよ俺を襲う気か?大歓迎なんだよ!」


「もうちょっと待ってくれたらきっと私も胸もおっきくなるから魔法をかけるのは待っててほしいな。駄目?」


小首を傾げたラスの腕を引っ張って倒れ込ませると、脚を絡めてあっためてやりながら何度も耳や首筋にキスをした。


「いいぜ、待ってやるよ。まあ胸は俺に任せとけ。毎日マッサージして…」


「あっ、コー、屋上の金色の花が飛んでる!すっごく綺麗!」


金色の花の花弁が風に乗って空を舞っていた。


またもや肝心なことが言えずにやや悶々としつつもラスが胸にしなだれかかりながら開放的な窓から外を見ていて、


コハクはじっとラスを見ていた。


「チビ、キスしたいんだけど」


「え?うん、いいよ」


「チビ、エロいことしたいんだけど」


「え?よくわかんないけど…うん、わかった」


――コハクのお嫁さんになるのだから、何をされてもいいし、コハクが喜ぶのなら、何でもしてあげたい。


…ローズマリーの件からこっち、ラスはコハクに対して強く愛を感じて、愛されることの喜びと、愛することの喜びを知った。


「コー、離れてかないでね。絶対だよ」


「当然だろ、チビこそ“実家に帰らせて頂きます”とか言うなよ」


約束、約束。
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