魔王と王女の物語
時は少々前後して――
食卓の間に戻るとグラースとティアラの姿はすでになく、途方に暮れていると急に後ろから声をかけられた。
「2階の1番奥の部屋をご用意いたしましたよ」
「……ありがとう」
大きなマスクをつけている隻眼のオーディンはそう声をかけた後静かに居なくなった。
…あの男も飛び抜けてレベルの高い魔物だろう。
あんな男も魔王の傘下なのかと思うと改めて戦慄を覚える。
――螺旋階段をまた上がって2階の長い廊下を歩きながらあちこちの部屋を覗いてみたが、塵ひとつ落ちていないほどに綺麗で、魔王の悪巧みに気が付いた。
「あいつ…」
意地は悪いが、ティアラと男女の関係になったことを魔王はラスに言わずに黙ってくれている。
ラスには…知られたくない。
――1番奥の部屋のドアの下から灯りが漏れていて、ノックするとティアラが出迎えてくれた。
「…中へ入っても?」
「ええ、どうぞ」
今でも好意を寄せてくれて笑顔で受け入れてくれるティアラ。
白騎士としてあるまじき行為に及んだというのに、この人は…
「あなたはやっぱり聖女だ。僕が汚してしまったけれど…あなたは綺麗だ」
「り、リロイ?恥ずかしいからやめて下さい」
俯いたティアラを、そっと抱きしめた。
ラスとは全然違う感触に思わずくすりと笑うと、ティアラが顔を上げて首を傾げた。
「リロイ?」
「ラスとは全然違う。あなたはやわらかくてふわふわしてるけど、ラスは痩せてるから」
「褒め言葉ですよね?胸が大きいの、コンプレックスなんです。ラスに分けてあげたいわ」
「ティアラ…僕を救って下さい。僕はもう駄目だ。僕は…おかしくなってしまいそうなんです」
――泣きそうな顔で懇願してきたリロイは弱々しく、唇は震えて…強く強く抱き返した。
「救いなんて…。リロイ、人間は弱い生き物なんです。弱くていいのよ。一緒に寝ましょう。ずっと抱きしめていてあげるわ」
「ティアラ…」
大きなベッドに座り、手を握ったまま見つめ合った。
これはいけないことだとわかっていながらも、
ティアラに救いを求めた。
食卓の間に戻るとグラースとティアラの姿はすでになく、途方に暮れていると急に後ろから声をかけられた。
「2階の1番奥の部屋をご用意いたしましたよ」
「……ありがとう」
大きなマスクをつけている隻眼のオーディンはそう声をかけた後静かに居なくなった。
…あの男も飛び抜けてレベルの高い魔物だろう。
あんな男も魔王の傘下なのかと思うと改めて戦慄を覚える。
――螺旋階段をまた上がって2階の長い廊下を歩きながらあちこちの部屋を覗いてみたが、塵ひとつ落ちていないほどに綺麗で、魔王の悪巧みに気が付いた。
「あいつ…」
意地は悪いが、ティアラと男女の関係になったことを魔王はラスに言わずに黙ってくれている。
ラスには…知られたくない。
――1番奥の部屋のドアの下から灯りが漏れていて、ノックするとティアラが出迎えてくれた。
「…中へ入っても?」
「ええ、どうぞ」
今でも好意を寄せてくれて笑顔で受け入れてくれるティアラ。
白騎士としてあるまじき行為に及んだというのに、この人は…
「あなたはやっぱり聖女だ。僕が汚してしまったけれど…あなたは綺麗だ」
「り、リロイ?恥ずかしいからやめて下さい」
俯いたティアラを、そっと抱きしめた。
ラスとは全然違う感触に思わずくすりと笑うと、ティアラが顔を上げて首を傾げた。
「リロイ?」
「ラスとは全然違う。あなたはやわらかくてふわふわしてるけど、ラスは痩せてるから」
「褒め言葉ですよね?胸が大きいの、コンプレックスなんです。ラスに分けてあげたいわ」
「ティアラ…僕を救って下さい。僕はもう駄目だ。僕は…おかしくなってしまいそうなんです」
――泣きそうな顔で懇願してきたリロイは弱々しく、唇は震えて…強く強く抱き返した。
「救いなんて…。リロイ、人間は弱い生き物なんです。弱くていいのよ。一緒に寝ましょう。ずっと抱きしめていてあげるわ」
「ティアラ…」
大きなベッドに座り、手を握ったまま見つめ合った。
これはいけないことだとわかっていながらも、
ティアラに救いを求めた。