魔王と王女の物語
「コーって目が悪いの?知らなかった」


「悪かねえんだけどかけてると集中できるし。なんだ、気に入ったのか?ずっとかけててやろうか?」


ラスを腹の上から下ろすと腕の中に転がり込んできて、背中に腕を回して抱き着いてきた。


魔王、爆発5秒前。


「コーの赤い綺麗な瞳が隠れちゃうからいい。ね、こんな所に住めるの?夢みたい。橋が沢山あって私の国みたい」


「ああ、そういやそうだな。毎日俺が改造した魔物たちが橋の修繕したりしてるんだぜ。俺の城も数日で作ったし、あいつら見てくれは悪いけど有能なんだ」


――エロいことをしてもいい、という許可は出ていたのだが、多分ラスは意味をわかってないし、おいそれと簡単に手を出したくない。


コハクの中で意見が拮抗していて、とにかくネグリジェからちらちらと見える胸の谷間に大コーフン。


「明日はちょっとだけ観光して、そんで俺の城に向けて出発な。ゆっくり寝ろよ」


「…コーに触ってたい」


「へっ?!あー…、まあ俺もむっちゃチビを触りたいけどさ。触るだけじゃ済まなくなるし」


「え?それってどういう意味?」


「や、今度実践で教えてやるって」


…そう言ったはいいものの、ラスが胸や腕にさわさわと触れてくるので眠れるわけがない。


ラスは本当に綺麗になった。

カイに呪いをかけた時は、こうなる予定ではなかった。


あの頃の自分はどこへ?

誰が俺の心の穴を埋めたのか?それは…


「…チビ…俺はさ、大切なものを見つけたんだ。永遠に見つからないと思ってた。なんだかわかるか?」


「わかんない」


「うおい、即答かよ。まあいっか。チビ、チューしようぜ」


ラスが顔を上げて瞳を閉じた。

子供みたいに突き出した唇が可愛らしく、1度ちゅっと小さくキスをした後、深く重ねた。


「ん…」


「チビの口の中、からからにしてやる」


熱烈なキスはラスの金の睫毛を震わせて、コハクの心も震わせた。


「早くコーのお嫁さんになりたいな…」


「世界一の綺麗な花嫁にしてやる。チビ…ありがとう」


何に感謝したのか。


黒いハートが白に染められてゆく。
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