魔王と王女の物語
朝方リロイが目を覚ます、椅子に座ったティアラが俯き、身体を揺らして寝そうになっていた。
「…ティアラ」
「!ごめんなさい、私…今寝ちゃって…」
ベッドサイドには魔法剣が立てかけてあり、手を伸ばして鞘を掴むと、水晶の力を吸って以来剣を握ると魂までも吸い込まれてしまいそうな圧迫感は消えていた。
「看病してくれたんですか?」
「ええ…看病といっても熱が引くように額を冷やしてあげたくらいで。魔法で何もかも治すのは良くありませんから」
――改めて、優しい女性だと思った。
目の下にくままで作って看病してくれた。
…実際倒れた後の記憶はないが、倒れる前に透明な水晶が真っ黒に染まったいやなイメージが浮かんでいたのは確かだ。
「…僕の心が…真っ黒になりかけていたのか」
「…魔王が浄化してくれました。リロイ…あの男は確かに残忍な一面はありますが、ラスを愛している気持ちだけは真実です」
黒ダイヤのような瞳は決戦の時を避けたいという思いで煌めき、リロイの頑なな心を少しだけ解したが…
身体を起こして窓に目を遣ると陽が差し込み、瞳を細めながらぽつりと呟いた。
「譲れないんです。影がラスを本当に愛していても、あいつは以前世界に混乱をもたらした。…今が幸せでも、ラスは絶対に不幸になる。不幸になるラスを見たくないんです」
「…リロイ…」
見つめ合っているとノックする音がしてラスがひょこっと顔を出し、笑顔で駆け寄ってきた。
「おはようリロイ。顔色が良いね、ご飯食べれる?」
手には2人分のあたたかいスープとパンとミルク。
…もちろんラスの背後には腕を組んだ仁王立ち状態の魔王がにらみを利かせていたわけだが、
リロイは真っ黒な男を完璧に無視してラスからトレイを受け取り、微笑んだ。
「ありがとう。これを食べたら出発しようね」
「うんっ。私とコーはもう食べたから外でお散歩してくるね」
ラスが部屋を出て行き、まだリロイを睨んでいた魔王がわざと大きな舌打ちをしてみせながら出て行った。
「あいつ…」
「食べましょう。食べないと…戦えませんから」
…誰と?
ああそうか、あいつと…
「…ティアラ」
「!ごめんなさい、私…今寝ちゃって…」
ベッドサイドには魔法剣が立てかけてあり、手を伸ばして鞘を掴むと、水晶の力を吸って以来剣を握ると魂までも吸い込まれてしまいそうな圧迫感は消えていた。
「看病してくれたんですか?」
「ええ…看病といっても熱が引くように額を冷やしてあげたくらいで。魔法で何もかも治すのは良くありませんから」
――改めて、優しい女性だと思った。
目の下にくままで作って看病してくれた。
…実際倒れた後の記憶はないが、倒れる前に透明な水晶が真っ黒に染まったいやなイメージが浮かんでいたのは確かだ。
「…僕の心が…真っ黒になりかけていたのか」
「…魔王が浄化してくれました。リロイ…あの男は確かに残忍な一面はありますが、ラスを愛している気持ちだけは真実です」
黒ダイヤのような瞳は決戦の時を避けたいという思いで煌めき、リロイの頑なな心を少しだけ解したが…
身体を起こして窓に目を遣ると陽が差し込み、瞳を細めながらぽつりと呟いた。
「譲れないんです。影がラスを本当に愛していても、あいつは以前世界に混乱をもたらした。…今が幸せでも、ラスは絶対に不幸になる。不幸になるラスを見たくないんです」
「…リロイ…」
見つめ合っているとノックする音がしてラスがひょこっと顔を出し、笑顔で駆け寄ってきた。
「おはようリロイ。顔色が良いね、ご飯食べれる?」
手には2人分のあたたかいスープとパンとミルク。
…もちろんラスの背後には腕を組んだ仁王立ち状態の魔王がにらみを利かせていたわけだが、
リロイは真っ黒な男を完璧に無視してラスからトレイを受け取り、微笑んだ。
「ありがとう。これを食べたら出発しようね」
「うんっ。私とコーはもう食べたから外でお散歩してくるね」
ラスが部屋を出て行き、まだリロイを睨んでいた魔王がわざと大きな舌打ちをしてみせながら出て行った。
「あいつ…」
「食べましょう。食べないと…戦えませんから」
…誰と?
ああそうか、あいつと…