魔王と王女の物語
気持ちよく寝ているとリロイから肩を揺すられてなんとか起きて、

風呂場まで連れて行かれて、寝ぼけながらコハクがどこに居るかをリロイに聞いてみた。


「コーは…?」


「さあ、さっきから姿が見えないけど。今日はここに泊めてもらおう。ゆっくりあったまってね」


「リロイ、一緒に入ろうよ…」


――それがいけないことだという認識はラスにはなくて、だがリロイにはあって…


繋いだ手を離そうとしたが離してくれずに途方に暮れていると…


「俺が入れてやるって」


「あ、コー…どこ行ってたの?早くお風呂入ろ」


「…え?ラス…もしかして、いつも一緒に影と入ってるの!?」


金色の瞳が動揺と驚きに見開かれ、ラスはフリルのシャツのボタンを外しにかかっているコハクの手を見つめつつ、頷いた。


「だってコーは影だもん」


「小僧、出てけ。チビの肌は絶対に見せないからな」


「首にキスマークをつけておきながら言うセリフなのか?」


バン、と音を立ててドアを閉めてリロイが出て行き、

上半身脱がされたラスの裸を、口元を押さえて笑みを隠しながら凝視しているコハクの首筋にピンク色の痣を発見し、ラスが声を上げる。


「コー…それ、なに?怪我?」


「おっと。なんでもねえよ」


痣の上を指でなぞるとそれが消えて行き、まだ半分夢の中にいるラスは自分でキュロットを脱いだ。


「コー、背中擦って」


「俺のも擦ってほしいなー」


「背中?いいよ」


「背中じゃなくって。まあいいや、とりあえず早く入れよ。身体冷えるぞ」


いつもお風呂はコハクに入れてもらっているので、ラスには何ら違和感はない。

だが…

風呂場の外で聞き耳を立ててしまっているリロイには想像のできない関係性で、


二人がとんでもないことにならないように見張っていると…


「僕ちゃん、お姉さんと遊ばない?」


「!僕に触るな!」


しなやかな手つきで腕に触れてきたブレアの手を払うと風呂場から離れ、

妖しい微笑でにじり寄って来るブレアに魔法剣を向けた。


「ふふ、可愛いわね」


…完全に子供扱い。
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