魔王と王女の物語
扉を開ける前、コハクはラスたちに念押しをした。


「寝たふりしてるっていうのを知ってるのは内緒な。驚かせてやろうぜ」


「わ、楽しそう」


ラスがノリノリなので、ティアラもリロイも仕方なくその提案に乗り、扉を開けた。


「うわあ…綺麗…!」


「こりゃイイね。うん、イイ」


コハクの“イイね”の意味はわからなかったが、塔の最上階で眠る姫は…スノウよりも美しく、金の巻き毛がベッドにちらばって、

白いスレンダーなドレスにピンク色の唇…噂通りの美女で、皆がベッドの回りに集まって姫の美貌を見つめた。


「この魔法はコーには解けないの?」


「さて、試してみないとわかんねえけど。集中力が要るから部屋から出てもらうけどいいか?」


…本当は目覚めているのはみんな知っていたのだが、リロイがラスとティアラの手を引いて外へと連れ出す。


「30分経ったら戻って来る」


「ああ、そんだけありゃ十分だぜ」


振り返らずにそう言い、扉が閉まると…笑いが込み上げてきた。


「30分かあ…ふふふ」


ぴくりと姫の眉が動いた。

ぎし、と音を立てて上体を傾け、姫の耳元で囁く。


「眠ったままでいいのか?ま、そういうのもたまにはいいか」


胸元の紐をするりと緩めると、とうとう音を上げた。


「やめて」


「目を開けろよ。俺を見てからもう1度言ってみろ」


――姫がゆっくりと瞳を開く。その色は真っ青なブルー。


コハクの少し冷徹でいてセクシーな美貌を見た途端、姫の唇がかじかんだ。


「あ、なたは…」


「回りからは魔王って呼ばれてるけど、本当の名はコハク。どうして寝たふりしてた?王子様を待ってるクチか?」


「気付いたら魔法が解けていたの。元々植物を育てるのは好きだったし…ここで独りで暮らしているわ」


「へえ、やっぱ落ちこぼれの魔法使いだったみたいだな。なあ、俺とちょっと遊ぼうぜ。男と会うのは久しぶりだろ?」


「な…、やめ、て…」


無理矢理唇を奪うと、力があっけなく抜けた。


「30分だけ楽しませてやるよ。俺に全てを委ねろ」


そしてコハクに絡め取られる。
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