魔王と王女の物語
ラスとティアラと一緒にひとしきり馬や鶏と戯れて、

30分程経って、なんとなくいやな予感がしたリロイはラスを先に歩かせず、率先して先頭を歩き、塔を上った。


「本当は寝たふりなのにコーがすごい魔法使いなの知らないから今頃慌ててるかも」


「ふふふ、きっと驚いているでしょうね」


きゃっきゃと女の子2人がはしゃぎ、リロイが瞳を細めながら扉を開けると――


「!!」


「小僧、閉めろ」



――ベッドの上にコハクと、そして…


…固まって動けないリロイの背中をラスの拗ねた声が叩く。


「リロイ、中が見えないよ」


「あ、えと、ラス、今は…その…」


とてもじゃないが、こんな光景は見せれない。


「チビに見られるだろうが」


舌打ちしながら人差し指を振ると、リロイの鼻先で扉が音を立てて閉まった。


「あれ?コーと姫は?」


「な、なんだろうね、強風で扉が閉まったみたい。ほら」


押しても引いても扉は開かない。ラスが耳を押し当てて中の様子を探ってみると…


どこかで聞いたことのあるような声が響いていた。

悲鳴のような…高い声。


「…コー、何してるの?」


中に向かって呼びかけて、コンコンと扉を叩く。

それでも扉は開かず、むっとなって今度はゴンゴンともう少し強く扉を叩いた。


「コー!」


扉が開き、中から出てきたのは…コハクではなく、姫だった。


何故か息切れをしていてラスたちを中へと迎え入れた。


コハクは…姫が眠っていたベッドに寝転がり、片膝を立てて超リラックス。


「魔法がかかったままだったぜ」


「そうなの?お姫様、もう眠たくない?」


「え、ええ…大丈夫よ」


歳は20代そこそこといったところか。

コハクの前にひざまずくと甲斐甲斐しく腕を揉み、頬を赤く染めていた。


…なんだかその光景はラスをいらいらさせて、小さく呟いた。


「…触んないで」


「え?」


「触んないで!」


部屋を飛び出す。


「ラス!」


「待て、俺が行く」


魔王が含み笑いしながら立ち上がった。
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