愛されたかった悪女
******


あの子は私を惹きつけてやまないハヤトと一緒にいた。


一瞬だけ、私は顔を歪めた。


あの子のドレスを見て驚いたからだ。


コバルトブルーの素敵なドレスだった。


ワンショルダーの大人っぽいデザインにもかかわらず、きれいな色と、白をラインに使っているせいで聖女のような清らかさを醸し出している。


いつものあの子と雰囲気が違っていた。


本当に私とは真逆な存在。


邪魔な存在。


早くいなくなればいいのに。


私は気を取り直してふたりの元へ歩みを進めた。


途中、周りから感嘆のため息や、私の名前を呟く声が聞こえる。


優雅にモデルウォークを見せつけながら、ハヤトに近づいた。



< 45 / 116 >

この作品をシェア

pagetop