魔女の悪戯
レオを褒めて、次は俺と勝負だ、いや俺だと言い争う小姓達を見ながら、レオは考えた。
ここは何処なのか、何故自分がタダスミドノと呼ばれているのか。
考えた結果、ここは、昔読んだ本にあった、東の果てにある国に似ているため、とりあえずそういうことにして。
さっきから皆が皆、自分をタダスミドノと呼ぶので、とりあえず自分はタダスミドノなんだろうと思うことにした。
「もし、忠純殿はいらっしゃいまするか。」
庭の近くの建物から、女性の声がした。
小姓達もそこに注目する。
はっとして、小姓達が皆地面に座って手をついて頭を下げたため、レオも見よう見真似で同じように地面に座って頭を下げた。
「忠純殿!」
女性がタダスミを強く呼んでいる。
レオはただ困惑するしかなく、それどころではなかった。
見兼ねたレオの近くにいた小姓が、腕でレオの身体を小突き、目で、行け、と合図する。
レオは恐る恐る立ち上がり、恐らくはタダスミドノより身分の高いと思われる女性の方を向いて、丁寧に答えた。
「は、ここに。」
忠純(レオ)の姿を見た女性は安心したように微笑んで、
「姫様がお呼びでございます。」
とレオを案内した。