魔女の悪戯
「それ程お嫌になるとは、先方に何ぞ問題でもござりまするか。」
「…あるわ。
すっごく、すごーっく嫌なところが!」
「なれば、お聞かせ下さいませ。
場合によっては破談にすることとて出来ましょうぞ。」
忠純がそういうと、王女はしばらく考えてから口を開いた。
「そうね…。
強いて言うなら人として問題があるわ!」
王女は拗ねたように言った。
むすっと頬を膨らませ、唇を尖らせる。
せっかくの綺麗な顔が台なしだった。
「人として…、で、ございますか。
されど、兄君の御友人であらせられる御方が、まかさ稀に見る暴君愚君ということはございますまいに。」
「まあ、それはそうだけど…。
でも、あんっなに意地悪な男、他に居ないわよ!!」
「意地悪…」
「そう!!
小さい頃からずっとよ。
遊びに来たかと思えば、わざと私の大っ嫌いな蛙ばっかり大量に詰めた箱を寄越してきたり、私のおやつを横取りしたり。
お兄様と遊んでいても邪魔ばっかり!!
あんな男のお嫁になんて行くものですか!!」
それを聞いた忠純は、くすりと笑ってしまった。
王女は最大級に眉間に皺を寄せる。
「左様にござりまするか。
なれば、貴女様は何の心配も必要ござりませぬよ。」