魔女の悪戯

レオは、最後の最後に、柚姫に呼ばれた。


ガシャガシャと聞き慣れない音のする鎧を着、頭には鉢巻き。


総重量10㎏以上の甲冑は、クリスティアの鎧と並ぶとも劣らず動きにくい。


とにかくガシャガシャと煩く、部屋の前に控えていた広崎局にもすぐ気付かれた。


「忠純殿、これまで姫様をお守り下さり、まことにありがとう存じまする。
私は、姫様に付き従い守槻城に参ります故、これにておさらばにございます。」


「どうか、貴女もお元気で。」


「ほほほ、まだまだ若い者には負けませぬぞ。
さ、姫様がお待ちでございます。
殿方とお会いになること、私は正直認めとうござりませぬが、今度は特別でございますよ。」


「…ありがとう、ございます。」


レオは広崎局に礼を言い、部屋へと足を踏み入れた。


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