魔女の悪戯
クリスティア城

──クリスティア王国1番街大通り。


カルボーロ王公国へ向かうラミア王女の、盛大なパレード。


体を突き抜けるかのような電流が消えると、レオはそのパレードの主役の乗っている馬車のすぐ脇の馬の背にいた。


忠純の父上に渡され、着ていたはずの、赤糸縅紅葉紋二枚胴具足は、着慣れた銀色の鎧と赤いマントに代わっていた。


隣を歩く馬の背には、親友のロナウド。


クリスティア王国に帰ってきたのだ。


いくら帰ってきたとは言え、今の状況は異常。


レオは頭をフル回転させるが、追いつきそうもなかった。


「しかし、ラミア王女はすごいな。」


「王女…?
王女は、何処へ…」


「はあ?
お前、大丈夫か!?
大事な大事な王女様の結婚で、寂しくなって頭おかしくなったとか言うなよ!?」


「そんなわけないだろう!」


──俺が居ない間に、王女は結婚を決めてしまったと言うのか?


前々から、王女の幸せを願えば結婚が1番と、覚悟はしていたはずなのにな。


こんなに突然だと最早言葉も出ない…。


「ま、カイル王子ならお前も安心だよな。
カルボーロからクリスティアもそんなに離れてないし。」


「あ、ああ…」


──そうか、あのカイル王子か。


昔から、王女を愛しげに見ていた、あの王子か…。


とても、かなわぬな。


レオは誰にも気付かれないよう、小さく苦笑した。


< 65 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop