監禁恋情
「お前の名は…。」

「名はありません。貴方様がお名付け下さい。」

逆に聞き返せば、そう答えられた。
…くだらない。
どうやら兄は本当に自分の為だけに彼女を連れてきたらしい。

「俺に敬語などいい。」

吐き捨てるように言えば少女はこちらをキョトンと見上げる。

「…俺に構うな。」

最後にそう言って、少女に振り返らずに寝室から出ていく。ぐちゃぐちゃになっている部屋のソファーに腰掛ける。


…俺には、君だけでいいんだ…


…愛(あい)。
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