spiral
「凌平さんって言っても、あとで面白がったりしないですか」
そうなんとか返すと「それって、嘘?ホント?」と確かめてきた。
「嘘ついたって、あとから誤魔化せるだけの頭ないです」
それは本当だもん。嘘と、嘘を誤魔化す嘘もつくのは上手くない。
「……そっか」
そういったきり、凌平さんが大人しくなった。
自分がいったことがおかしくなかったのか、すこし気になった。気になりはしたものの、確かめていいのかも悩む。
身動きも出来ないで、小さくため息をついた時だった。
「決ーめた」
楽しげな声で頬笑む。
「何を決めたんですか」
そう聞いたら、あたしの右手を取って、指輪を指で指してこういった。
「マナの好きな男。俺で決定ね。さっき言った、もいっこ増やす記念はこういうことで決まり」
「決定?あたしの好きな人?」
あたしじゃなく、凌平さんが言葉にして決めてしまった。
「だって、もう待てない。それに両想いになってるのがハッキリしたのに、そこから先に進めないでいるし」
そういい、指輪の上から口づけをして、こう呟いた。
「俺だけのマナになってくれますか」
唐突な告白に、思わず確かめたくなる。同時に、いつもとは違って聞こえたそれ。
「あたしで、いいんですか」
軽い言葉じゃなく、それは凌平さんの本音。そう思えた。
だって、いつになく優しい瞳。吸い込まれそう。
「ヤダ」
いつもの言葉。そして、
「マナがいい。他じゃダメだって、さっき分かったからさ」
「さっき分かった?」
何かしたかなとまた思案するけど、やっぱり自己完結しかない。
「秘密、暴露してほしい?」
そう聞かれ、迷ったものの頷いた。
「あのね、言いにくいんだけど」とあたしの手を取る。
「え、ちょ、きゃっ」
声を思わずあげずにはいられない。
だって凌平さんが、自分自身を、服の上からでも触らせたから。
「逃げないで。お願い、触って」
あの凌平さんとお母さんの話、嘘だったの?もしかして。やっぱり男と女だから、そういうことしようって言ってるの?
オロオロするあたしに反して、凌平さんは穏やかな笑みを浮かべあたしを見た。
「違う。俺ね、今までダメだったんだ。ホントに。……なのにさ」
「ダメの意味がよくわかりません」
触れさせられていることで、まだ頭が混乱したままのあたし。そういうのが精いっぱい。
でも、凌平さんは穏やかな笑みを崩さない。