BLack†NOBLE


『クロードの手下か? アリシア、確認しろ』


 アリシアがシートの影から確認する。


『あの車……多分違う! それにクロードが私のこと撃つわけないじゃない!』

 
 どちらにしろ、友好的に屋敷に招き入れてもらうことは出来なさそうな奴らだ。


 この車は蔵人の所有物らしいから、反対勢力が攻撃してきたか……





 慣れない道に突如現れた建物に、慌てて急ハンドルをきった。


 キキィーーッと、タイヤの磨り減る音が響く。

 慣れない車に、慣れない道……おまけに相手は発砲してきている……



『瑠威……運転大丈夫なの? 私、クロードと心中する覚悟はあるけど、瑠威と心中する覚悟もしたほうがいい?』


『俺は、お前なんかと心中したくない』


 ハンドルを握る手が震えた。だけど、そんな事をこの女に悟られたくなかった。


 アリシアはシートベルトを握り締めたまま、低くシートに背を預けている。

 体をシートにしっかりと密着させて、両足で体を支えている。

 荒い運転になれている身の構え方だ。


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