BLack†NOBLE

 やはりローザに会うしかない。こんな奴らを引き連れて彼女が待つ屋敷には向かわなくてよかった。


 住宅街を抜け、山道に入る。標識は、この先にローマがあることを示していた。

 ナポリへ行くためには、ローマを経由する道もある。この車にはナビゲーションシステムがあるので、あとで最短ルートを探そう。






 バックミラーで後部を確認すると、相手はライトを上向きにして追跡を続ける気だ。



『スピードあげるぞ』


 このままだと、ローマまで奴等を引き連れて行ってしまう。なんとか追跡を諦めさせたい。



 広いとも狭いとも言えずに、杜撰な舗装をされた道。運転し辛いが、それは相手も同じこと……


 アクセルとクラッチを交互に使い分けて、慎重に加速する。

 ハンドルを使い間違えれば、谷に転落だ。



『うわぁぁああ……瑠威っ! スピードだしすぎぃ~』

『アリシア、俺の職業なんだと思う?』


『F1レーサーとか一流のスタントマンだったらいいなぁーっ! ギャーーーっ前見て運転してよっ!』


 右に左にクランクした道を、すり抜ける。 険しい山道だ 、昇り坂は傾斜がきつい。
< 107 / 509 >

この作品をシェア

pagetop