BLack†NOBLE
あの頃から、蔵人と父の関係は歪んでいた。蔵人は、家族を避けるようになって、一人を好んだ。
何日も外泊をしたり、女の部屋に入り浸ったったりすることもあった。
「瑠威も、来るか?」
蔵人のテリトリーに初めて招かれた。酒にギャンブル、女にぎりぎり合法なドラック。この国で蔓延る、毒牙に手を染めた兄を俺は止めなかった。
その世界はあまりに危険で暴力的で、魅力的だった。
メルフィスという名を耳にするようになったのは、この頃だった。
暗黒街の帝王、この国の悪事には全てメルフィスの名前が絡んでいると噂されるマフィア。
あまり派手に遊ぶと、決まって潰される。
闇の世界には、闇の世界のルールがある。破れば死あるのみ。
行方を眩まし、惨遺体として発見されるものの……警察の捜査はいつも行き詰まり、犯人が見つからない事が多いという。
そんな奴らを何人かみてきた。