BLack†NOBLE


 銃声がピタリと止む。



『裏口に回ろう……逃げるぞ』


 アリシアをもう一度だけ強く抱き締めてから、腕を解くと店主が消えた店の奥を指差す。


 きっと、裏にもう一ヶ所出口がある。



『わかった』


 割れたガラスを踏みつける。




『────待て、どこに行くつもりだ?』


 壊れた扉がギーッと不気味な音をたてて、開けれた。




 全身の血の気が引く。



 的確な例えだ。全身に流れていた血液が、瞬時に引いていき。自分が生きているのか、死んでしまったのか判断がつかなくなる状態。



 客は、一ヶ所に集まり皆で身を寄り添い支えあっている。

 この国では、マフィアの銃撃戦に巻き込まれた時の対処法を学校で習っているのだろうか?

 酷い言葉で文句を言いながら床に伏せている。
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