BLack†NOBLE
割れたガラスの上で下唇を噛み締め、右手の拳を強く握り締める。
茉莉果お嬢様にスフォリアテッレが届けられる。彼女はあの屋敷にまだ閉じ込められている。
彼女は、蔵人の贈り物としてそれを受け取り、そして何を思うのだろう?
「美味しそう」と愛らしい頬を緩ませるのだろうか?
『瑠威、ここは店仕舞いするようだ。外に出て車に乗れ』
蔵人の冷たい手が、俺の肩を掴む。怪我をしていない方の肩だ。
「煩い……俺に触るな! 彼女は無事なんだろうな? 返せよ! 俺の大事な女だ、傷つけたらお前も殺す」