BLack†NOBLE

 青く澄んだ空はどこまでも続き、茂るヤシの木が風に揺れている。照り付ける陽射し、乾燥した空気。



 パレルモに来たのは、はじめてだった。



 道沿いに、洒落たオープンカフェやバールなどが建ち並んでいる。

 彼女を連れてきたなら、目を輝かせてバールで地中海料理を楽しんだことだろう。

 船は苦手だが、彩り豊かなヨットの帆に喜んだかもしれない。



 彼女は、今何をしているのだろう?


 
 病的なまでに彼女のことばかり考えてしまう。こんな感情、生まれてはじめてのことで、一番戸惑っているのは俺自身だ。


 この想いだけは、貫き通したい。







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