BLack†NOBLE
ローザの表情が、悲しそうに沈んだ。わざとらしい。こっちは、家族が離れ離れになったんだ……はい、そうですか。と笑えるか……
くそっ、こんな所来るべきじゃなかった。
『瑠威……そんな顔をするな、ローザは何も悪くない』
『マフィアってのは、自分の主人がどんな悪等でも、妻は平和に穏やかに善人として生きていくものなのか? 知らなかったな』
『瑠威っ!』
蔵人が俺に掴みかかる。
折角、少しだけ昔みたいに戻れたと思ったのに……
『クロード、やめなさい! 瑠威が正しいわ』
蔵人は、俺を睨み付けると「お前だけが、悲しんだわけじゃない……」と冷たく言い放つ。
「何故、そう言い切れる」
蔵人はローザの手を握り締めると『外は冷えます。中に入りましょう』と俺の質問を無視した。
『瑠威、あなたは嫌かもしれないけど……よかったら夕食を食べていってくれない? お客様がいらっしゃると聞いて、沢山作りすぎちゃったのよ。お願いよ』
断ろうと思えば断れる。だけど、ここで蔵人の機嫌を損ねれば、さっきの話がなくなるかもしれない。
俺が渋々頷くと、ローザは予想以上に嬉しそうな顔をした。