BLack†NOBLE
ヘリの機体は、オートローテーションで器用に桟橋付近に着陸した。
その身軽な動きでエンジンを止めず、すぐにでも俺たちを上空に連れて行ってくれるだろう。
俺と蔵人とアリシアとレイジがヘリに乗るらしい。
『走れ!』
突然、ヒュンと嫌な音が聞こえはじめた────
『クロード様、奴等また撃ってきました』
『くそっ……ヘリを落とす気か? すぐに出発する。はやく乗れ!』
ヒュン……
ヒュン…………
その音は、今までの銃声とは違う。不気味さが、身を過ぎる。
俺の次はお前だ───と蔵人は言った。
『瑠威早く乗れ! 死にたいか!』
ヘリのステップに足をかけて、中に入る。
次に蔵人が抱き上げたアリシアを受け取ると、ヘリの奥へと押し込んだ。
『嫌ぁ、クロード!』
『今引き上げる! 座ってろ、馬鹿女!』
次に蔵人を……
ヒュン、ヒュン……
バチッと弾けヘリのステップに傷がついた。ヤバいな……近くを撃っている。
ライフルだ。多分暗視スコープのついた長距離狙撃用。
蔵人の手を掴みヘリに引き上げ、すぐにレイジが自力で乗り込み地上を飛び立つ。
腹が浮くような浮遊感……重力バランスが崩れる。