BLack†NOBLE

 ヘリの機体は、オートローテーションで器用に桟橋付近に着陸した。

 その身軽な動きでエンジンを止めず、すぐにでも俺たちを上空に連れて行ってくれるだろう。



 俺と蔵人とアリシアとレイジがヘリに乗るらしい。


『走れ!』




 突然、ヒュンと嫌な音が聞こえはじめた────



『クロード様、奴等また撃ってきました』


『くそっ……ヘリを落とす気か? すぐに出発する。はやく乗れ!』


 ヒュン……
 ヒュン…………




 その音は、今までの銃声とは違う。不気味さが、身を過ぎる。




 俺の次はお前だ───と蔵人は言った。



『瑠威早く乗れ! 死にたいか!』


 ヘリのステップに足をかけて、中に入る。

 次に蔵人が抱き上げたアリシアを受け取ると、ヘリの奥へと押し込んだ。


『嫌ぁ、クロード!』


『今引き上げる! 座ってろ、馬鹿女!』



 次に蔵人を……


 ヒュン、ヒュン……

 
 バチッと弾けヘリのステップに傷がついた。ヤバいな……近くを撃っている。



 ライフルだ。多分暗視スコープのついた長距離狙撃用。

 蔵人の手を掴みヘリに引き上げ、すぐにレイジが自力で乗り込み地上を飛び立つ。


 腹が浮くような浮遊感……重力バランスが崩れる。

< 204 / 509 >

この作品をシェア

pagetop