BLack†NOBLE


『っくそたれ!』


『瑠威様、座席に座ってください! 危険です!』



 アクリルガラスの扉を閉めたレイジの声に、急いで座席に座り両肩からベルトで体を固定した。

 俺の左隣ではアリシアが自分でベルトを固定する。




 右隣の蔵人は自分でベルトを、固定できない……




『蔵人……』



 自分の両手が鮮血で染まっている。 体に重力がかかり、パレルモの港が小さくなっていく。



『クロード……!? 嘘……やだクロード!!』


『アリシア座ってろ!』

 
 向かいの座席に座ったレイジが、今ようやく異変に気がついた。




『……目を瞑れ』


『やだ……瑠威だって、血が!!』


『いいから、俺の命令に従え! 一回で理解しろ』


 俺が怒鳴ると、アリシアはパラパラと涙を流して俺の背に額をつけた。



『蔵人……蔵人、目を開けろ!』



< 205 / 509 >

この作品をシェア

pagetop