BLack†NOBLE
14.quattordici



──────朝靄の中の幻想的なフィレンツェの街並み。霞の中にオレンジ色の屋根がポツリポツリと浮いている。


 小鳥が屋根にとまり、もうすぐ現れる太陽を待ちわびている。


 大聖堂の鐘は、ただ静寂してそこにじっと佇む。




 静かすぎる……。





 蔵人は大きな私立病院に搬送された。マフィアをよく理解している医師がいるそうだ。

 手際よく担架に乗せられ、すぐに手術室へと入った。



 医師が救える見込みがあると判断したから……手術室にはいったんだ。


 蔵人が死ぬはずなんてないのに、俺は馬鹿なことを考えていた。


 マフィアの権力抗争が始まれば、それを沈める策を必死に考えていた。





『瑠威様、まもなくフィレンツェの屋敷に到着いたします』


『わかってる』




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