BLack†NOBLE
好き勝手にマフィアなんかになって、両親を巻き込んだ。蔵人なんていなければよかったと、ずっと恨んできた。
今はこの強大な組織を束ねている。アイツには責任がある。いなくなるなんて、許せない。
この組織が暴走を始めれば、少なからず俺も彼女も巻き込まれるだろう。
例え、うまく日本に逃れても……俺が生きている限りは命を狙われるかもしれない。
『屋敷に着いたら、対策を考える。時間を少しくれ……今、ファミリーを混乱させると不味い事態になる。敵の思うツボだ。蔵人が撃たれた事実は、必要最低限の信頼できる奴だけに報せろ』
『わかりました。瑠威様』
運転席のレイジが頭を下げた。違和感を感じた。
いつもは自分が運転席に座り頭を下げる役目だからだ。
『やっぱり……この先のことはレイジが決めてくれないか?』
レイジは沈黙した。
アリシアは、蔵人の元を離れようとしなかったので置いてきた。病院にいれば安全だろうし、ファミリーの護衛がついている。
『蔵人の言葉なんて気にしなくていい。俺はただの執事だ……マフィアのことなんて何もわからない』
『いいえ……私には無理です。クロード様があの様な目に遭い、取り乱しました。
あなたがいなければ、ファミリーを混乱の渦に巻き込んだでしょう』
『そんなことないだろ……』
レイジの左頬は、大きく腫れ上がっている。
昨夜、病院で俺が力一杯殴った。