BLack†NOBLE


 好き勝手にマフィアなんかになって、両親を巻き込んだ。蔵人なんていなければよかったと、ずっと恨んできた。

 今はこの強大な組織を束ねている。アイツには責任がある。いなくなるなんて、許せない。

 この組織が暴走を始めれば、少なからず俺も彼女も巻き込まれるだろう。




 例え、うまく日本に逃れても……俺が生きている限りは命を狙われるかもしれない。





『屋敷に着いたら、対策を考える。時間を少しくれ……今、ファミリーを混乱させると不味い事態になる。敵の思うツボだ。蔵人が撃たれた事実は、必要最低限の信頼できる奴だけに報せろ』


『わかりました。瑠威様』


 運転席のレイジが頭を下げた。違和感を感じた。

 いつもは自分が運転席に座り頭を下げる役目だからだ。



『やっぱり……この先のことはレイジが決めてくれないか?』


 レイジは沈黙した。

 アリシアは、蔵人の元を離れようとしなかったので置いてきた。病院にいれば安全だろうし、ファミリーの護衛がついている。



『蔵人の言葉なんて気にしなくていい。俺はただの執事だ……マフィアのことなんて何もわからない』


『いいえ……私には無理です。クロード様があの様な目に遭い、取り乱しました。

 あなたがいなければ、ファミリーを混乱の渦に巻き込んだでしょう』


『そんなことないだろ……』


 レイジの左頬は、大きく腫れ上がっている。

 昨夜、病院で俺が力一杯殴った。






< 213 / 509 >

この作品をシェア

pagetop