BLack†NOBLE


 白い肌に可愛らしい寝顔。女性というより少女みたいだ。長い睫毛は、ピクリとも動かない。

 スースーと眠る顔は、とても安らかで愛しい……



───お嬢様、お迎えにあがりました。


 そう言って、このまま彼女を連れ去ろうか?


 彼女に触れたくて伸ばした指先……

 だけど、早朝のフィレンツェを駆け抜けてきた俺の手はあまりに冷たくて……


 触れたら彼女の安眠を妨げてしまうだろう。




 こんなに気持ち良さそうに眠る彼女を、俺の身勝手で連れ去ることなんて出来るのだろうか?




< 221 / 509 >

この作品をシェア

pagetop