BLack†NOBLE
白い肌に可愛らしい寝顔。女性というより少女みたいだ。長い睫毛は、ピクリとも動かない。
スースーと眠る顔は、とても安らかで愛しい……
───お嬢様、お迎えにあがりました。
そう言って、このまま彼女を連れ去ろうか?
彼女に触れたくて伸ばした指先……
だけど、早朝のフィレンツェを駆け抜けてきた俺の手はあまりに冷たくて……
触れたら彼女の安眠を妨げてしまうだろう。
こんなに気持ち良さそうに眠る彼女を、俺の身勝手で連れ去ることなんて出来るのだろうか?