BLack†NOBLE
 すると彼女は、頬を赤らめながら俺の手をとると口づけをした。


「ずっと会いたかったわ……私も柏原がいないと全然ダメなのよ」


 見つめた瞳は、綺麗な二重にあどけなさが残る。



 貴女は、とても美しい。このフィレンツェの街より美しく、どんな芸術作品も貴女には敵わない。


 だから、俺は守らなければならない。この美しい彼女を守らなければならない。






「着替えをしてきます」


「えっ? ええ」


 夢から突然現実に引き戻された様に、彼女は瞳を二回まばたきさせた。

 このまま触れ合っていたら、俺はいつまでも彼女から離れられない。



「それに荷物を纏めておいてください。そのプレストフラワーも、役にはたたないだろう。蔵人はもう貴女とは会わない」





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